海洋の石油開発

海洋の石油開発
陸域の油田の開発は、19世紀から始められていますが、陸地の見えないような海洋での油田が開発されたのは、第二次大戦後の1947年アメリカルイジアナ沖が最初のものです。
以来、石油開発技術の 急速な進歩とともに、大陸棚から大陸棚斜面さらに深海底へし探鉱開発の対象はだんだんと水深の より深い方へと発展しています現在は世界の全石油生産量の20数%が海洋油田からのものですが、今後この比率はさらに高まると予想されます。
海洋の石油開発

本格的な海洋の石油掘削は、1947年にメキシコ湾で始められました。
 最初は、ごく水深の浅い海域に限られていましたが、次第に水深の深い所でも掘削が行われる様になりました。この様な掘削可能水深の増大は次にあげる掘削装置や施設が次々と開発され、これらを使って掘削を行う技術が年とともに進歩してきたためです。

1:海岸からの傾斜掘削
2:固定式の掘削
3:甲板昇降型掘削装置(リグ)の掘削
4:半潜水型掘削装置(リグ)の掘削
5:船型掘削装置(リグ)の掘削

現在では水深の深い海域での掘削が多くなってきた事もあり、試掘井の掘削のためには.3.4.5.が主に使用されています。

海洋掘削技術

海洋での掘削の場合、陸上での掘削技術に加えて、海との闘いが要求されてきます。

海洋では嵐でない時でも、波、 潮流、風等によるリグを動かそうとする力が絶えず発生します。
一方、リグは油井の掘削作業中、その位置を動かさ ないことが必要であります。

この為、水深が浅い所では人工島が築かれたり、構造物によるプラットフォームが設置 されその上にリグが搭載されました。

しかし次第に水深が大きくなると、試掘井のためだけにこの様な物を構築する 事は経済的に無理となります。そこでまず、ジャッキアップ型のリグが開発されました。これは移動式ですが脚を下 ろして海底に着け、ジャッキアップしてしまえぱそれで位置が固定され、人工島と同じになります。

しかし水深が100mを超えると、脚を含む構造が大きくなり過ぎてジャッキアップ型では無理となってきます。

そこで 浮遊型(フロータ一・タイプ)のリグが次に開発されました。
この型はセミサブマージブルとドリルシップの2つの型 に分けられますが、いずれの型も海に浮かんでいながら、掘削期間中その位置を保持しなければなりません。位置を保持する方法としては、アンカーと係留索による方式とDPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)方式の2つが あります。
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アンカー方式の場合はせいぜい水深1,000m以内の海域にかぎられますが、DPS方式の場合は海底のビーコン とリグのハイドロフォンで常時リグの動きを検知し、もし位置がずれていた時はスラスターを正位置に戻す方向に作動させて、位置保持を行いますので係留索を使用しません。このため2,000mを超す様な大水深の海城でも充分リグを稼動させる事ができ、スラスターの方向と出力はコンピュータにより自動的にコントロールされます。

最初に洋上で掘削地点にリグを位置させる時には航法衛星を使用する場合もあります。

海洋の石油開発

海洋の石油開発
陸域の油田の開発は、19世紀から始められていますが、陸地の見えないような海洋での油田が開発されたのは、第二次大戦後の1947年アメリカルイジアナ沖が最初のものです。
以来、石油開発技術の 急速な進歩とともに、大陸棚から大陸棚斜面さらに深海底へし探鉱開発の対象はだんだんと水深の より深い方へと発展しています現在は世界の全石油生産量の20数%が海洋油田からのものですが、今後この比率はさらに高まると予想されます。
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日本の海洋油ガス田

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我が国でも19世紀未に新潟県尼瀬海岸で岸から30-50mの沖合まで桟橋を出して掘削を行い、尼瀬油田開発の端緒となりました。

 海上にプラットフオー ムを設置して開発が行われた本格的な海洋油ガス田は、1959年に発見された 土崎沖油田が最初のものです。
1990年末に稼動中の海洋油ガス田としては 阿賀沖油ガス田、磐城沖ガス田、阿賀沖北油田、岩船沖油ガス田が挙げられます。

北海の石油開発

1950年代末にオランダ、のフローニンゲン地方で天然ガス田が発 見されたのを契機に、北海が石油の有望地域として注目されるよ うになりました。
  はじめは南部で天然ガスが発見され、漸次北部 の油田開発に発展し1970年から商業生産が開始された、北海は強 い風、荒れ狂う波、冬の寒気と気象条件が非常に厳しくこの開発条件の悪さを克服するための新技術が駆使され、さながらその実験場 となりました。

ブレントシステム

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ブレント油田では、周辺のセスル、ダンリン、コルモラントなどの油田との共同開発が行われ、陸地への長距離パイプラインを共同使用しています。さらに周辺の中規模油田もブレントとパイプラインを共用することで開発が可能になりました。

 北海のような環境では、海底パイプラインの敷設は非常に費用のかかる仕事ですから、共同使用は開発コストを下げる大きな効果を発揮します。

 また、ハットン油田においては半潜水型プラットフォームを直下の海底に係留する 方式のテンションレグプラットフォーム(TLP)を世界で初めて利用しました。

 また中央コルモラント油田では海底設置 マニホルドセンター( Underwater Manifold Center,UMC)を便用した海底仕上げ井から生産物を既存の南コルモラント油田プラットフォームで処埋するという開発方式が採用されるなど新しい、試みがなされています。
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マージナル油田の開発

アーガイル油田は、1971年に発見され、当初は埋蔵量20-30百万バーレ ルと推定された中小規模の油田です。

 当時は北海の油田の生産実績も殆ど無く、油田の寿命や埋蔵量の予測が困難でした。そこで、開発に当 たっては半潜水型掘削装置を生産施設に改造する案が採用されました。
これによりプラットフォームを建設する方法に比べ1/3の費用で生産が開始でき、かつ油田枯渇後は、生産施設を他の油田へ移動転用できるというメリットが得られる訳です。
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1975年に4抗の海底仕上げ井で生産を開 始しましたが、その後1980年に西方 約6kmで発見されたダンカン油田をも組み込み、半潜水型装置も、抗井数の増加等の改良が加えられたものに取り替えられ現在に至っています。

極限への挑戦

石油の開発は陸域の浅部から始まり、次第に深部あるいは海洋への油田と進んできました。
 既に水深300mを越える海洋での生産も行われていますが、今後はさらに沖合の深海底までも、開発の対象となるでしょう。また、水深はそれ程ではなくとも、北海のように気象条件の厳しい地域や、北極地方のような未踏の地へと活動の範囲が広がっていくことは避けられません。今まで以上の高度な技術が必要となってくると予想されます。

大水探へ-アメリカ周辺の プラットフォーム

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本格的な海洋油田の開発は、1947年ルイジアナ州沖合で始まりました。
 その時のプラットフォームは水深6m、重量1,200 トンという小さなものでしたが、現在最も水深の深い固定式プラットフォームは1989年にシェルがメキシコ湾の水深410mに設置したブルウィンクル油田のもので、総重量は116,000トンに及んでいます。
 これ以上の水深では多分、浮遊 式の生産システムやテンションレグプラットフオームが用いられると考えられており、プラシッドオイルではメキシコ 湾で1989年に488mの浮遊システムを導入し生産を行っています。

 ブルウィンクル油田の西隣のレナ油田では1985年に 水深305mにコンプライアントタワーと呼ばれる底部を海底に固定しない鋼鉄製の構造物を設置して開発を行っています。
 タワー自体は波濤・潮流で動くような設計であり、その動きを多数のアンカーで防ぐというもので、構造物の重量を大幅に下げることができます。
 メキシコ湾で最大水深の構造物はジュリエット油田の水深560mのテンションレグプラットフオーム(1989年)ですが、オーガー油田のテンションレグプラットフォームは、水深869mにおいて建設中です(1993年完成予定)。尚ブラジルのカンポス沖では最大水深1,800m-2100mのアノレバコーラ、マーリム油田でタンカー や半潜ホ式装置を便った浮遊式生産システムが採用されていますが今後は、テンションレグプラットフォームやコンプライアントタワーの設置も検討されています。
 
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荒海へ-北海の プラットフォーム

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 北海は厳しい、海象気象条件下にあり、冬季に発達する氷柱や激しい風浪に耐えるような頑丈なプラットフォームが必要になります。

  例えばマグナス油田の水深は184mですが、ジヤケット重量は35,400トンと、水深が312mであるコニャッ ク油田のジヤケットの重量33,500トンより重くなっています。
 
また、北海では一般的な鋼鉄製ジャケット型プラットフォームだけでなくコンクリート製重量型プラットフォームが数多く設置されています。
 その理由としては、海底土質が軟弱でないこと、海底地形が非常に平坦なこと、重力型に適した 70-150mの水深範囲が多いこと、付近に重力型プラットフォームを作るに適した深い入江があること、曳航から設置までの期間が3-4ケ月と短く、好天候の期間が短い北海に向いていること、重力型の多くは貯油タンクを備えておりパ イプライン無しでのシャトルタンカーを使った早期生産が可能なことなどが挙げられています。
 北海では、ノルウェー 沖のトロール油ガス田でトリポット型のコンクリートプラットフォームが水深335mに設置されたのが最大水深ですが ノノレウェー西岸沖のハイドラン油田では水深350mにおいてコンクリート・テンションレグプラットフオームの建造 が計画されています。

極地へ

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北極圏は地球上に残された最も有望な石油埋蔵地域のひとつです。この地域が脚光を浴びるように なったのは、1968年にアラスカのノーススロープでプルドウベイ油田が発見されて以来といえるで しょう。

 しかし北極圏の自然は厳しぐ実際に生産が 始まったのは1977年になってからです。これは石油を運びだすためのパイプライン建設に手間どっ たことが理由です。
 この他の北極圏の石油開発としては、ソ連の北極圏、ボーフォート海、北極海諸島が注目され、探鉱・開発の努力が続けられています。しかし掘削作業ができる期間が短く、かつ特殊な装置が必要 なことから探鉱のペースは緩まざるを得ません。
 また、極地での作業はコストがかかり、油の輸送 も長距離でコスト高となるため、開発に結びつく には他の地城に比べ大きな埋蔵量が必要となります。1987年より生産を開始したボーフォート海の エンディコット油田は1988年には100,000b/dの生産を計画していますが、その開発コストは20億 ドルにも昇ると言われています。

原油の資源量

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ポーフオート海では氷の溶けるのは夏の3ケ月だけであり、生産段階は勿論、試掘の場合でも土砂で人工島を作ることがあります。
  し かし、工事期間や、土砂の運搬などの制約がら水深がせいぜい10m 程度の浅海までと言われており、最近ではコスト削滅、期間短縮を 目的に氷を吹きつけて、ある厚さを持った氷の島を作るという試みもなされています。また、氷の力や厳しい天候に耐え、極地での活動時問をできるだけ長くして探鉱コストを下げるために極地専用の 掘削リグの研究・開発も進められています。

コンクリート製人工掘削システム

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このシステムはグラベル式の人工島に比べ、安全であることに加 え、自然環境を変えることもなく他のロケーシヨンへの移動も可能 なことから,建設・操業費が小さく将来の極地開発への適用が広が るものと期待されています。

石油系資源量

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 パイプラインの建設が遅れた理由のひどつに、環境論者の反対がありました。

 その結果ムース(大鹿)の生活圏をそのまま残すために パイプは空中に持ち上げて建設され、パイプラインコストを大幅に 増加させる要因となりました。全長1,200kmのアラスカパイプラインの建設コストは90憶ドルに達し、これは多分、普通の場所でのパイプラインに比べ、20倍位高い建設コストだったでしよう。

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