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アジア太平洋地域の中小規模ガス田とFPSO開発の状況
三宅裕隆(石油公団 天然ガス事業部)
Outlines of Marginal Gas Fields in Asia-Pacific Region and R/D of FPSO : HIROTAKA MIYAKE


まえがき
アジア太平洋地域には既発見・未発見の中小規模(1〜2TCF)の海洋ガス田が多数存在する。公団は日揮株式会社とこれらの経済的な開発を目的とした、天然ガス液化プラントを浮遊式生産出荷システム(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)に搭載する「小規模洋上天然ガス液化プラント」の実用化に向けた調査研究を行った。また、FPSOの設置対象としてアジア太平洋地域のガス田に着目し、基礎的な情報収集を行った。前者は、当該地域の比較的穏やかな気象・海象条件の海域を想定し、浮遊式バージ、天然ガス液化プラント、LNG船係留システム、LNG貯蔵施設等について概念設計、水槽実験等を行うとともに船級協会による安全審査を受けた。この結果、当該システムは技術面、安全面及び経済面から実用化の可能性は十分にあることが確認された。後者は、当該地域に存在する未開発ガス田について、FPSO(液化プラント、液体燃料化プラント等)の設置を検討する為の諸条件(ガス田規模、気象・海象条件、離岸距離、水深、ガス組成等)についての基礎情報を得た。なお、本講演では、FPSOに関する調査研究の成果を中心に報告する。

T.小規模洋上天然ガス液化プラント(FPSO)について

1.前提条件
(1)対象地域:東南アジア・オセアニア地域の台風の影響を考慮しない比較的穏やかな気象・海象条件の海域

(2)ガス田規模:1〜2TCF(可採埋蔵量:0.5〜1.0TCF)

(3)原料ガス:硫化物を含まない特定の成分から構成されるガス

(4)操業期間:1つのガス田について10年〜20年

(5)輸送距離:3,000海里(約5,000km)

(6)環境条件:
 @気象条件;
  ア)気温;平均28℃、最高36℃、最低25℃ 
  イ)最大風速;25m/s(10分間平均、100年再現期間)

 A海象条件;
  ア)波高;平均1.0m、
     有義波2.2m(1年再現期間)
     有義波5.5m(100年再現期間)
  イ)潮流;1m/s

B設置位置の水深;約100m

2.検討結果の概要:
(1)浮体形式:非自航式バージ。

(2)係留方式:一点係留外部タレット方式。

(3)貯槽設備:貯蔵能力135,000m3、
  形式は、独立球形(モス)方式或いは独立方形(SPB)方式。

(4)出荷設備:LNG船への荷役設備はローディングアーム方式、着桟方式はサイドバイサイド方式。

(5)液化設備:LNG生産能力100万t/年、稼動期間25ヶ年、1トレイン。プリコプロセス(ハンプソン型主熱交換器)が、選定された。

3.水槽実験の概要:
FPSOプラントバージとLNG船の係船時の両船の相対動揺・変位を確認する為、水槽実験を実施した。その結果、両船の相対動揺は小さく、有義並高3mで係留出来る見通しが得られた。

(1)計測条件:供試波/有義並高3m、2m、1m。風速12m/s。潮流1m/s。3条件を5つ組み合わせ。

(2)FPSOの運動:
 @入射波の波周期で変動する動揺応答。
 A長周期並漂流力による長周期運動
 B波漂流力及び風、潮流による定常変位の3成分に分類出来る。

(3)係留力:最大値が設計許容値以下であることを確認した。

4.研究・開発の評価:

(1)技術面:概念設計で選択した液化プロセスの主要機器の耐動揺特性は5度であるが、前提条件での海象条件はこの耐動揺特性以下であり、ほぼ100%の稼働率が得られた。

(2)経済面:

 @評価の概要;経済性については、各プロジェクトの条件、ガス開発コスト、ガス成分、コンデンセート量等により大きく変化することから、プロジェクト毎に評価する必要がある。本調査では、ある特定条件での試算を行い検討したが、その結果、FOB価格で2.9$/MMBTUとの評価が得られ、本システムが経済的にも実用化の可能性があることが確認された。なお、ベースケースとして試算した前提条件は、以下の通りである。

 A前提条件;
  ア)原料天然ガス;0.75$/MMBTU(比較的低価格)
  イ)ROI;10%
  ウ)コンデンセート生産量;14千トン/年(価格を150$/トンとする)
  エ)建設コスト合計;605MM$
    ・船体、貯槽、出荷部分;265MM$
    ・液化プラント;295MM$
    ・曳航、裾付;45MM$
  オ)操業コスト;27MM$

 B検討結果;
  ア)FOB(Free on Board) LNG価格;2.9$/MMBTU
  イ)CIF(Cost, Insurance and Freight) LNG価格;3.84$/MMBTU
  市況がこの程度以上の価格であれば経済的に成り立つことが確認された。
  なお、今後は研究成果の普及、ユーザーの開拓及び特定プロジェクトに対する概念設計、詳細設計、F/Sの実施等を行うべきとの方向付けがなされた。

U.アジア・太平洋地域の既発見・未開発ガス田について

1.対象国:中国、台湾、インド、ミャンマー、パキスタン、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、オーストラリア、パプアニューギニアの13ヶ国

2.既発見・未発見ガス田の概要:

 (1)ガス田(フィールド)数;542フィールド

 (2)確認埋蔵量;
  @ガス;29.5TSCF(平均125.4BSCF)
  A原油(コンデンセート含む);44.2億BBL(平均15.8MMBBL)

3.FPSO等の設置条件と対象ガス田:

 (1)海象・気象条件;重要な要因となる。

 (2)ガス田規模(235フィールド);確認埋蔵量の総計は、約29.5TSCFと見積もられた。

 (3)平均離岸距離;
  @200km以上;ミャンマー、フィリピン、ベトナム、パプアニューギニアの4ヶ国。
  A100km未満;台湾、インド、ブルネイの3ヶ国。

 (4)平均水深;200m以上はフィリピン、100〜200mはオーストラリア、100m以下はその他各国である。

 (5)ガス組成;二酸化炭素の含有量からの評価は、平均含有量17%以上がインドネシア、中国、マレーシアの3ヶ国、6%以上がオーストラリアであり、その他の国はそれ以下の数値である。

以上 
      



Profile

  1. 氏名:三宅 裕隆 (みやけ ひろたか)

  2. 所属:石油公団 天然ガス事業部