back

Profileへ

ニーワットアルギャラン油田の開発
三輪正弘(アブダビ石油)
Development of Neewat Al-Ghalan Field : Masahiro Miwa




  1. アブダビ石油は、現在、3つの海洋油田(ムバラス、ウムアルアンバー及びニーワットアルギャラン油田)の生産操業を行なっている。今回講演で紹介するニーワットアルギャラン(略称GA)油田は、これらの3油田の中でも最も規模が小さく、水深数mに満たない浅海域に位置する小規模油田である。さらに、油層の性質上、通常の採油方法では商業油田として開発できず、随伴ガスを利用したEOR技術の一つである高圧ガスミシブル攻法を当初より適用し、原油回収率を上げる必要があった。このような悪条件ではあるが、既に生産を行っているウムアルアンバー(略称AR)油田とアブダビ石油の原油処理・貯蔵・出荷基地であるムバラス島の施設を最大限に有効利用できる位置的利点と、AR油田で既に採用されていた高圧ガスミシブル攻法の操業経験を活かす事で、GA油田の開発が可能となった。今回の講演では、GA油田の特徴、開発計画の策定、開発作業を説明し、高圧ガスミシブル攻法の適用、浅海域における小規模海洋油田の開発の一例として本油田の開発を紹介する事を目的としている。また、現在進められている環境対策としてのEOR効果もあるサワーガス圧入の計画についても紹介する。

  2. 経緯
    AR油田、GA油田を含む西ムバラス鉱区の利権は、アブダビ石油が1979年4月に取得し、同年8月ムバラス石油が設立され、探鉱・開発に関わる一切の操業をアブダビ石油に委託した。その後の探鉱作業の結果、現在のAR油田、GA油田を含む5地域で、アラブ層からの出油に成功した。まず、1985年にAR油田の開発が決定し、1989年より生産を開始した。生産層であるアラブAからD層の各油層の特色を考慮して、高圧ガスミシブル攻法、ガスサイクリング法、自噴採油による自然減退の3種類の採油法を適用している。当初、GA油田は他社の鉱区との関連があり開発は見合わせていたが、1988年3月にアブダビ政府により問題解決がなされたため、開発計画の策定作業を始める事となった。その後、1993年に開発計画が承認され、開発作業に着手し、1995年6月より生産を開始した。


  3. 油田概要
    GA油田はアラブ首長国連邦の首都アブダビ市の西方沖合い約100kmに位置するドーム状の背斜構造で、上部ジュラ系のアラブ層が油層となっている。油層深度は約11,000ftで貯留岩は炭酸塩岩であり、油層はアラブAからD層に大きく区分される。アラブAからD層に大きく区分される。アラブA層はAR油田と同様なブラックオイルの油層で、アラブB、C及びD層は深度による組成変化を持つボラタイルオイル層である。

  4. 油田開発
    4.1.採油方式及び坑井掘削・仕上げ
    アラブA層に対しては、高圧ガスミシブル攻法を適用し、アラブB、C、D層ではコミングル仕上げによる自噴採油で生産を始め、生産開始後8年目よりガスサイクリング法に切り替える採油方式としている。坑井数を6本とし、構造頂部よりガス圧入を行い構造翼部に5本の生産井の内、2本をデュアル、3本をシングルで仕上げ、構造頂部の構成はデュアル仕上げで当初はアラブA層のガス圧入井とアラブB-D層の生産井とし、将来はアラブA層とB-D層へのデュアルガス圧入井となる。

    4.2.生産設備
    GA油田の開発はAR油田の原油一時処理を行うARサイトターミナルの生産・圧入施設を最大限に有効利用し、新設施設を最小限にしている。すなわち、新設部のプロセスフローはパイプライン系施設のみとして、操業の容易性を最重視している。

  5. 結語
    今回のGA油田開発と操業実績の意義は以下の通り。

    今後の課題は次の通り。
参考文献
1) 錫木正義・大沢正博、1987 アブダビ海域におけるArab層の堆積相について、石技誌、52(1)、124-133
2) 大沢正博・小鷹 長・鈴木正義、1987 アブダビ海域におけるArab貯留岩の岩相と物理的特性、石技誌、52(6)、487-498
3) 野市晴夫・三輪正弘、1991 ウムアル・アンバー油田の開発、石技誌、56(6)、544-552
4) 野市晴夫、1993 ウムアル・アンバー油田の開発(その2)、石技誌、58(2)、128-136
5) 竹崎 斉・三輪正弘・鈴木正義、1993 ウムアル・アンバー油田の形成について、石技誌、58(3)、225-236
6) 石橋正敏、1994 アブダビ海域Neewat Al Ghalan(GA)油田におけるArab・Hith(ジュラ系)中のHSTとTST;GA油田における堆積サイクルと積み重なりパターン、石技誌、59(1)、99-108

Profile

  1. 氏名:三輪正弘 (みわ まさひろ)

  2. 講演者所属:アブダビ石油株式会社 技術部

  3. 油田概要

    アブダビ石油は、現在、3つの海洋油田(ムバラス、ウムアルアンバー及びニーワットアルギャラン油田)の生産操業を行っている。今回講演で紹介するニーワットアルギャラン(略称GA)油田は、これらの3油田の中でも最も規模が小さく、水深数mに満たない浅海域に位置する小規模油田である。さらに、油層の性質上、通常の採油方法では商業油田として開発できず、随伴ガスを利用したEOR技術の一つである高圧ガスミシブル攻法を当初より適用し、原油回収率を上げる必要があった。このような悪条件ではあるが、既に生産を行っているウムアルアンバー(略称AR)油田とアブダビ石油の原油処理・貯蔵・出荷基地であるムバラス島の施設を最大限に有効利用できる位置的利点と、AR油田で既に採用されていた高圧ガスミシブル攻法の操業経験を活かす事で、GA油田の開発が可能となった。今回の講演では、GA油田の特徴、開発計画の策定、開発作業を説明し、高圧ガスミシブル攻法の適用、浅海域における小規模海洋油田の開発の一例として本油田の開発を紹介する事を目的としている。また、現在進められている環境対策としてのEOR効果もあるサワーガス圧入の計画についても紹介する。


  4. 講演結論

    今回のGA油田開発と操業実績の意義は以下の通り。

    今後の課題は次の通り。
  5. 講演者プロファイル

    [略歴]
    1981年3月 東京大学工学部資源開発工学科卒業
    1983年3月 東京大学大学院工学系研究科修士過程資源開発工学専攻終了
    1983年4月 アブダビ石油株式会社入社、技術部
    1985年4月 同社アブダビ鉱業所、開発部
    1990年6月 同社本社、技術部
    1993年3月 同社アブダビ鉱業所、開発部
    1997年7月 同社本社、技術部  現在に至る。


    [主な発表論文]
    1. 平川誠一・三輪正弘、1984 : In-Situ Combustion Simulation fo Enhanced Oil Recovery. 石技誌、49(2)、75-86
    2. 野市晴夫・三輪正弘、1991: ウムアル・アンバー油田の開発、 石技誌、56(6)、544-552
    3. 竹橋 斉・三輪正弘・鈴木正義、1993: ウムアル・アンバー油田の形成について、 石技誌、58(3)、225-236
    4. Miwa, M. and Yamamoto, Y., 1989 : Field performance of Submersible Oil Well Pump in Mubarras Field, Offshore Abu Dhabi, UAE. SPE 17968, 6th Middle East Oil Show, March, 1989
    5. Takezaki, H., Suzuki, M. and Miwa, M., 1995 : Geologic Controls on Wettability of Charbonate reservoir, Abu Dhabi, U.A.E. SPE 29883, 9th Middle East Oil Show, March, 1995