| 北海油田におけるWAGおよび4Dサイスミック(べースサーべイ)の実施例 |
ノルウェー領北部北海のスノーレ油田は1992年に生産を関始した。ここでの水深は300m以上と大きく、開発にはテンションレグ・プラットフオームと海底テンプレ一トが用いられている。1996年末で21坑の生産井と11坑の水圧入井が稼動しており、1997年はじめの日産量は約24万BBLでピークレートを維持している。
スノーレ抽田の構造は一部で削剥をうけた複数の断層ブロックからなつており、油田全体の構造面積は約100km2である。油層は三畳系からジュラ系の河川成砂岩である上部Lunde届とStatfjord層からなる。原油の比重は86-40APIで、可採埋蔵量は約11億BBLと評価されている。
構造の把握や探掘はほぼ油田全域にわたつて終了しているが、現在までの開発は主に油田の南部に集中している。開発には段階的なアプローチがとられ、北部北海でも生産の実績があるStatfjord層分布エリアを中心に開発が関始された。
上部Lundeの商業生産はスノーレ油田がはじめてである。既に上部Lunde眉からの生産はスノーレ南部の一部でおこなつているが、良好な生産住と油層の連続性を示している。今後は予定通り開発エリアを油田北部に拡大していく計画である。
スノーレ油田ては原油の飽和圧カが極めて低く、生産性と回収率を向上させるために水圧入を主な生産機構としてきた。これに加えて増収の手段のひとつとしてガス圧入の実施も考慮され、1994年にはそのためのパイロットテストが一部の断層ブロックで関始された。
ガス圧入パイロットテストのスキームとしてはWAG(Water
Alternating Gas Injection)が採用された。WAGによる増収の主なメカ二ズムとしては、垂直掃攻効率の向上、坑井よりアップディップにある原油の回収、残油飽和率の低減があげられる。また、このような増収の効果以外にもガスの払出のキャパシテイの関係でいくらか制限されていた原油生産レートを増加させる効果もある。パイロットテストでは既存の坑井パターンを利用するためにダウンディップからのWAG圧入がおこなわれた。
実蔚におこなわれたWAGのパイロットテストでは、ガス払出量の低減による原油増産には著しい効果をあげ、かつ回収率の向上にも効果が得られたと評価されているが、一部の坑井では予想より早い圧入ガスのブレークスルーがみられたために圧入位置(圧入に用いる坑井)の変更や圧入レートの制限などを余儀なくされることもあった。
今後はアップデイップからのガス圧入も含めて油田全体にWAGを拡張していく計圃であるが、いままでの経験も踏まえて圧入ガスの挙助をより詳細に把握する必要があると考えられたため、ガスのフロントの動きをモ二ターするために4Dサイスミックサーべイのパイロットプロジェクトが開始された。
パイロットエリアとしてはこれから生産・圧入坑井を掘削しアッフデイップWAGを段階的に実施していこうとしている油田東部が選定された。ここで圧入ガスのフロントの動きをモ二夕一することによりブレ−クスルーを事前に察知するこヒができるだけでなく、WAGスキ一ムの最適化や今後のWAGエリアの拡張時の評価に不可欠な情報が得られると考えられている。
パイロットテストの実施に先立ち、実際の電気検層デ一タやコアデータをもとに、サイスミックサーべイによるガスフロントのモニターが可能かどうかの検討がおこなわれた。地質・油層モデルには不確かな要素が多いため、様々なケースを想定してサイスミック・モデリングが実旋された。この精果4m程度のガスコラムがあればその存在は検知可能であり、今後のガス圧入計画から考えてこのようなモニタリングは可能であると判断された。また,測定には高いS/N比が要求されるとともに、重合処理が極めて重要であることもわかつてきた。
こうしてパイロットテストの実施が決定されたが、高精度の測定を同じ位置で繰り返して実施する必要性から、レシーバーには海底ケーブルを使用することになった。スノーレ油田の場合は2隻のボートを用い、1隻はシューテイング、もう1隻はケーブルの設置とレコーデイングをおこなう。最初の測定は1996年の秋におこなわれ、現在モニタの処理作業が実施されている。良好な測定・処理結果が得られれば、適当な量のガスの圧入がおこなわれた時点で(おそらく1997年後半に)2回目の測定作業が実施されることになる。そして3回目の測定は2回目の約1年後に実施しようと考えている。
スノーレ油田の貯留岩は複雑な河川成砂岩のネットワークであり、その適切な油層マネージメントには困難な課題が多い。地表アナログ詞査、アロストラテイグラフィー解析、ストキャスティックモデリング、試験生産、トレーサー(水・ガス)の圧入など、さまざまな手法や技術の適用により精度の高い評価やリスクの低減をめざしてきたが、今回の4Dサイスミックのパイロットテストも今後の油層マネージメントの質の向上に寄与するものが大きいと期待されている。