| 炭酸塩岩油層における浸透率の推測 |
1.はじめに
抽層を摸したフローシミュレ−ションにおいてモデルのグリッドセルに割り当てる浸透率(相対浸透率)の値はモデルの性格を決定し、計算結呆に大きく影審する点で他の様々なパラメータ同様に重要である。最近、耳にする機会の多い「油層キャラクタラリゼーション」という言葉は狭義には油層全体に岩石物性パラメータが如何に分布しているかを推測することの意に使用されていようである。これらのパラメータが油層全体にどのように分布しているかを推測するには種々の手法が提唱されているが、そのような新い手法を用いるにしろ、従来どおりの手法を用いるにしろ、坑井でのデータが基本になることに何ら差異があるわけではない。
今回の研究ではこの「油層キャラクタライモーション」を行う上で欠かせない坑井における浸透率、特にコアを採取していない坑井における浸透率分布を推し測る手法をコアデータ、ログデータを用いて検討した。
2.目的
当研究は中東地城の炭酸塩岩抽層のひとつを対象として、当該油層に掘削された坑井のうちでコアを採取していない坑井における浸透率分布を推測するための手法を確立することを目的としている。なお、当該油層は大きく上下2層に分離されその境にはアンハイドライト層が存在する。上部層は比較的ライムストーンが主流を占めているが、下部層ではドロマイトの発達が確認されている。
3.手順
ログデ一タから浸透率を推測する手法としては様々な方法があるが、今回の研究では1)ニューラルネフトワーク、2)多重回帰分析の2種類の手法を用いて浸透率を推測し、その結果を従来から行われている−k
correlationによる浸透率推測の結呆と比較することによりこれら手法のうちどの手法がこの油層に適しているかを判断することにした。
4.結果
4.ニューラルネットワークを用いた手法
当該抽層における14坑井のコア採取井のコアデータ(水平浸透率,孔隙率)とログデータ(CPI,Raw-Log)を用いて行った。予測に用いたニューラルネットワークは4層の階層構造型ニューラルネットワークである。学習方法にはバックプロバゲ一ション法を採用した。結果を検討するために4坑のうちの1坑(W−040)をコア未採収井と仮定し,他の坑井をニューラルネットワークの学習に用いてW−040の浸透率分布をもとめた。この結果をコアデータと比較した(図1)。また当手法に対して従来法(−k
correlation)を用いて同様の条件でW−040の浸透率分布をもとめ比較検討の材科とした(図2)。この結呆、ニューラルネフトワークと従来法を用いて推測したW−040の浸透率分布は互いに同じような傾向を示しており、ニューラルネットワークで構築されたシステムが孔隙率主体であることが想像され他のログデータは計算績果にほとんど影響しないことがわかった。
4.1多重回帰分析を届いた手法
多重回帰分祈は,コアの木平浸透率を従属変数、ログから計算された孔隙率(PHIE)、マトリックスに占める各種岩石の割合(VLIM,VDOL,VANH)を独立変数としておこなった。各独立変数の組合わせは15通り存在している。これらの組み合わせに対し多重回帰分析を行った結果、孔隙率のみを独立変数とした場合に相関係数が最も高くなることがわかった。これは従来法(−k
correlation)で求めた相関式にほかならず多重回帰分析による浸透率の相関式の導出はうまくいかなかった。
5.まとめ
今回の研究では各種ログデータを用いて浸透率分布の推測の精度を向上させることはできなかった。結局、従来法とほとんど変わらないことがわかったわけであるが、大きな理由として考えられることとしてコアデータとログデータの解像度があげられる。特に炭酸塩岩では変化が激しいことも失敗の原因であると考える。今後の研究課題としてはこの解像度の違いに関することと従来法では検出の難しい高浸透率層を検出する手法を確立することが考えられる。