FPSOのリース契約によるマージナルフィールドの開発
山田健司(モデック)・川瀬雅樹(モデック)・島村好秀(モデック)
Marginal Field Development and Lease Contract of FPSO : Kenji Yamada, Masaki Kawase, Yoshihide Shimamura


1. 概要


近年、FPSOプロジェクトにおいて、コントラクタがFPSOを所有し運転まで行うタイムチャ−タ (T/C) 契約によるものがふえてきている。ここでは、マ−ジナルフィ−ルドにおけるFPSOのリ−ス契約による開発の優位性及び、当社がチモ−ル海にて運転しているリ−ス契約のFPSOについて概要を紹介する。




FPSOの契約形態


FPSOを用いた海洋油田の開発に対する石油会社 (オペレ−タ) とコントラクタの契約形態については、FPSOの技術要素の確立及び、石油会社のコスト削減及びスリム化の要求により、下表に示すように変遷してきている。

第一期

石油会社の詳細仕様書によるFPSOの建造・納入

第二期

 

石油会社の性能仕様書によるFPSOの設計・建造・納入・据付を行なう、タ−ンキ−プロジェクト
FPSOのオペレ−ションを含まない裸傭船 (B/B) 契約

第三期

FPSOのオペレ−ションを含むタイムチャ−タ (T/C) 契約

FPSOにおいては、生産設備であるFPSOの次の様な特徴から、B/ B契約やT/ C契約といったリ−ス契約になじみやすい特性をもっている。


・転用性

浮体であることより、固定式生産設備に較べ、他油田への移設・転用が容易である。このことは、コントラクタがFPSOを所有することにより、広い範囲で転用可能な油田を探すことを可能にする。


・CAPEX

マ−ジナルフィ−ルドにおいては、パイプラインなどのインフラがないケ−スが多く、FPSOを利用することにより、インフラの整備なしで、生産原油の払い出しが可能となり、CAPEXを押さえることが可能である。さらに、FPSOをリ−ス契約とした場合、コントラクタとしては、他油田への転用を前提として減価償却を図ることにより、リ−ス金額をおさえることが可能となり、石油会社にとってもCAPEX及びOPEXの最小化を図ることができる。


・早期生産開始

固定式設備に比べ、現地据付、生産開始までの期間が短いのがFPSOの特徴であるが、リ−ス契約の場合には転用可能なFPSOがあれば、生産開始までの期間が大幅に短縮できる。
この他にも、FPSOコントラクタとしては、海運会社や掘削会社といったリ−ス契約になじみの深い会社が多いということもこのマ−ケットの背景にある。




3. O & M 契約


最近では、上に述べたFPSOのリ−ス契約の有利性が広く認められた上で、オペレ−ション及びメンテナンス (O & M) についてもコントラクタが引き受けるケ−スがふえてきている。この場合のメリットとしては、次の様な事が考えられる。


・OPEX

石油会社の直傭によるオ−バヘッド分の削減だけでなく、要員、設備、補給等の共有によるOPEXの削減を図ることができる。


・要員の確保

コントラクタとしては、十分なトレ−ニングを受けた優秀な運転要員を確保することができる。また、人材をプ−ルすることにより、必要な要員を迅速に派遣することができる。

一方、リ−ス契約における石油会社の役割は、石油会社の考え方やフィ−ルドの特性によって異なるが、最低限、次のようなものが考えられる。1)生産量及び生産プロファイルの決定、2)坑井装置・フロ−ライン (パイプライン) の所有、3)生産原油の販路、4)ワ−クオ−バの計画・実施、など。

コントラクタの作業範囲については、上記に含まれない、要員派遣、運転、メンテナンス及び補給まで含まれるが、プロジェクト毎に異なるのが現状である。

一方、リ−ス契約においては、次のような検討課題がある。


・チャ−タ期間

コントラクタにとっては長期の安定した契約が望ましい。また他油田への転用を考える場合、他油田の開発スケジュ−ルと関連してオフハイアの時期も重要な検討項目の一つである。


・生産量あるいは安定操業に対するインセンティブ

石油会社によっては、生産量の目標値を設定し、それを超えた生産量に対するボ−ナスを設定することにより、安定操業及びメンテナンスに対するインセンティブを与えている。


・フィ−ルド毎の仕様の違い

他油田への転用を前提とした場合、どこまで設備の汎用性を持たせるかが検討課題となる。他油田の転用においては、フィ−ルドの特性、石油会社の意向により、改造は不可欠であるが、改造コストを最小化するための汎用化や冗長度についてはCAPEXとのトレ−ドオフが必要である。




4. Elang / Kakatua プロジェクト


本プロジェクトは、チモ−ル海にあるインドネシア及び豪州の共同開発鉱区 (ZOCA) における初めての開発プロジェクトであり、4基の海底坑口装置よりの合計可採埋蔵量は29MMBBL、日産量32,500 BOPDである。当社は本油田のオペレ−タであるBHPP社よりFPSOの T/ C 契約を受注し、1998年7月より生産を開始している。

本プロジェクトでは、既存のFPSO (Skua Venture) を当社が買い取り、本油田の仕様、生産量に合わせた改造工事を行なった後、現地据付を行なった。引き続きコントラクタとして O & Mを行なっている。本プロジェクトにおける当社の役割は 1) FPSOの所有、改造、 2) 据付工事、  3) 運転要員派遣、  4) 運転、保守及び補給業務である。本プロジェクトの特徴は

以   上