| 中東油田におけるintegrated reservoir characterization studyの適用例 |
【 はじめに 】
近年、より詳細なreservoir
modelの作成のため、reservoir
characterization studyが各地で行われている。その背景には、データ量の増加、そのデータのプロセスがコンピューターの進歩により簡単になったこと、よりセルサイズの小さいsimulation
modelが可能になり精緻なデータが入力可能になったこと、油層の複雑さが理解されるにつれその詳細な把握が必要になったことなど、いろいろな条件が出そろったことにある。
また油層技術者がデータ収集作業から関わり、同時に地質技術者がsimulation
studyの目的や限界を理解し、さらには
simulationを行うことにも参加するなど、お互いの専門分野を尊重しながら、仕事の範疇をoverlapさせるという、いわゆるチームワークを重視したスタディが効率および質も高いものができるということが理解されるようになってきている。とはいえ、分野が違う技術者たちがお互いを理解しながら、作業を進めるのは容易なことではない。お互いの専門用語が理解できなかったり、同じ用語が別の意味で使われたり、誤解のために効率が低下することもある。
ここでは、事例としてアブダビの現地操業会社で炭酸塩岩油層に対し行われたintegrated
reservoir characterization studyの内容を述べる。このスタディの手順、問題点、結果などを中心に報告したい。
【 スタディの目的 】
対象となった油層は、周縁水圧入で圧力維持を行っている。しかしながら、巨大油田であるため圧入井からの圧力は中央部に十分届かず、中央部に水かガスの圧入を行う必要に迫られている。このため、現有のsimulation
modelでは、ガス圧入ケースを扱うには不十分との判断から、更に精緻なモデルにするべく、地質モデルを最初から構築し、新しく油層モデルを作成することになった。また、ハイドロリックユニットなどの比較的新しい手法を導入し、3次元の地質ソフトの使用でよりグラフィカルに、効率的にモデルを作成することを目的に作業が始まった。
対象となった油層は断層などが存在せず、構造的には非常に単純な油層である。そのため油層モデルで必要な入力データは主としては、ロックタイプの定義(後述)、および、浸透率とロックタイプの油層内の分布、さらにその分布をうまく表現できるレイヤリングである。そのため、まずロックタイプの定義のためのデータ収集から本スタディは始まった。
【 データ収集とロックタイプ 】
地質技術者、油層技術者を中心とした数人のチームが作られコア記載、薄片観察などのデータ収集作業が始まった。油層技術者は当初からデータ収集に立ち会い、データベースの作成の手伝いをした。
ここで地質技術者、油層技術者の間で問題となったのは、ロックタイプの定義である。油層技術者にとってロックタイプとは、同じ毛細管データ特性、相対浸透率特性を持った油層岩と定義できる。しかしながら、地質技術者にとってはその石の歴史的生成過程を当然ながら問題にする。この2つの特性に厳密な関係がある場合は問題がないのだが、地質的なパラメータは非常に複雑であり、いろいろな見方、分類ができるのが普通である。
そのため、毛細管データ特性つまりはpore
throat size distributionを決定できる要因の地質パラメータを見つけ出すため、存在する毛細管データと同深度のコアに対し、コア記載、薄片観察を行った。ここで、通常と違い薄片観察結果を数量化してデータベースに入力している。これにより、地質データを統計的に扱うことが可能になった。ここでは記載の数量化の基準を維持するため、一人の地質技術者がquality
checkを行いながらデータ収集を行うことが重要になる。
この作業により、textureとpore
throat size distributionがもっとも相関がよいことがわかったが(図参照)、これだけでは十分でなく、炭酸塩岩特有の溶解という現象がこの比較的単純な関係を崩していることがわかった。このため、溶解のあるものとないものに分けロックタイプを定義したわけだが、さらに、溶解の進んでいるものと進んでいないものの境の薄片観察記載は人間の目による観察では不可能のようである。それは、薄片観察は孔隙を見ているのであり、pore
throatは見ることはできないためと思われる。
このため溶解の進み具合を表現するのにFZI(Flow
Zone Indicator)というハイドロリックユニットの手法で使用される、浸透率と孔隙率より計算されるパラメータを使用した。FZIだけでも不十分ながら、pore
throat size distributionを分類できる。そこで、地質パラメータとFZIの組み合わせをし、お互いの補完を行うことにより、pore
throat size distributionを分類ができるようになった。
以上の方法で、地質パラメータとFZIにより、その石のpore
throat size distributionの予測が可能となっている。また、油層技術者はこの手法を更に相対浸透率データの分類にも使用している。
GRAINSTONE samples WACKESTONE samples
【 3次元モデルとレイヤリング 】
次に問題となるのは定義づけられたロックタイプデータが地層中にどのように分布しているかということである。最初に単純にコアをとった各坑井のロックタイプ分布データを3次元の地質モデルに入力し、地層中のロックタイプ分布を作成した。これにより、この油層は比較的単純なLayer
Cake Modelであることがわかった。
この3次元モデルのプログラムは通常レイヤリングに沿ってデータ間の補完をするため、不完全なレイヤリングを行うと、ロックタイプの連続性に問題のあるデータができる。そのため、すべての井戸のログデータを使用し、ロックタイプの連続性を考慮しながらレイヤリングを行っている。このレイヤリング作業は地質技術者、油層技術者が一坑井ずつ確認しながら作業を行っている。
これによってできた3次元の地質モデルから直接油層モデルにデータ変換し、simulation
modelを作成した。
【 Integrated
Study成功のためのポイント 】
最後にIntegrated
Studyを成功させるためのポイントを挙げる。スタディの目的に沿ったデータの収集。同じデータベースを使用するためのコンピュータ環境の整備。用語の統一。近接した作業場所。専門分野の相互理解。上司の理解。初期段階での十分な時間。といったことがこのスタディの経験から学んだ重要点である。