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Panel Discussion


1-a.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(従来の油層評価技術との違い)
1-b.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(モデル構築作業における客観性の追求と逆解析的手法)
1-c.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(Multi-Disciplinary Approachの今昔)
2.油層評価の不確定性と自動ヒストリーマッチング
3.Reservoir CharacterizationKeyとなる要素技術について
4-a.地質、物探、技術者から観たReservoir Characterization(地質、震探dataの活用)
4-b.地質、物探、技術者から観たReservoir Characterization(データの分解能力とUpscalingDownscaling
5-a.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(コンピューター能力の発展との関係)
5-b.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(事例紹介 : 山田知己氏)
5-c.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(Simulationの目的とデータ収集の関係)
6.Reservoir Characterizationにおける動的データの活用
7.データベース構築とReservoir Characterization実施体制(チームワークとマネージメント)の重要性

1-a.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(従来の油層評価技術との違い)

在原:最初にまず定義的なReservoir Characterizationというのは、従来の油層評価技術においては、どのように位置付けますか?山田さんの話では、貯留層挙動把握を目的とするということでしたが。

山田:私のPresentationの最初の件だと思いますが、私はそのように位置付けています。つまり我々Reservoir Engineerの仕事というのは貯留層を理解し、それをコントロールして企業として利潤を得るといった作業ですが、最初の貯留層を理解する、つまりスタティックな意味でもダイナミックな意味でも、それを理解するといったプロセス全体を指す概念である、と私自身は位置付けています。

栗原:今、山田さんがおっしゃったように、Reservoir CharacterizationReservoirを特徴づける、すなわちReservoirを理解することであるという定義には誰も疑間の余地はないと思います。ただこれは従来から行われていたのではないでしょうか?先程登坂先生の話にもありましたが、私共の会社ではl970年頃からずっと「何とかReservoirを特徴づけられないか、何とかReservoirの真の姿を見つけられないか」という努力をしてきたと思います。最近いわゆるReservoir Characterizationという言葉で表現されている技術も、多くの部分、あるいは基本的な部分は従来の油層評価技術で構成されていると思いますが、今迄の方法と異なる点、進化している部分もいくつかあります。この部分を特に強調して、Reservoir Characterizationと呼んでいる傾向もあると思いますが、具体的な相違点・進化点としては私が考えるに四つ程あります。

一つは、今迄の方法で疑間に感じていたこと、つまり処理が不十分であった問題を解決しようとする方向にあることです。今日の話でもいくつか出ていたと思いますが、コアなどのデータが無い部分の浸透率はどうやって推定するのかという問題に対して、私が若い頃は、コアの孔隙率と浸透率の関係をプロットし、たとえ相関が悪くても代表線を1本引いて両者を関係付けてしまうようなこともよくありました。どうせSimulation Modelも、せいぜい20003000のグリッドにしか分割できず計算誤差なども大きいと予想されたため、浸透率の推定もこの程度の精度で十分と考えていたわけです。また、例えばl00m×l00mのグリッドに対して、コアで得られた相対浸透率をそのまま適用することに対しても大きな疑問を感じていました。そういった問題を解決したり、パラメータ間の相関づけ精度良く行うための手法がいくつも検討されてきています。一つには、こういうテクニックを使うことをReservoir Characterizationと言って、従来の方法と区別しているのではないかと思います。

二つ目は、昔のスタディとは大きく違って、取り扱うグリッドのスケールが非常に小さくなっていることです。今申しましたように、Simulation Modelのグリッド数も昔はせいぜい20003000でしたが、最近では、例えばアメリカのメジャーではl00万オーダーで分割している例も珍しくありませんし、Geostatistical Modelingで使用するグリッドはこれよりも更に小さなものとなっています。例えば縦方向のレイヤーは、昔は23枚にしか分割できず、カットオフというテクニックを使って、流動に寄与しないと思われる部分はモデルから省いてしまい、流れる所だけを選んで平均化したモデルを作っていたため、Reservoirを正確に表現しているとは言い難いものでした。今では何十枚にも分割して流動に寄与しないシェールなどの部分も含めてモデル化し、シェールの分布を予測することで流体流動をより正確に再現しようという方向もあります。シェールのみならず、浸透率分布などのReservoirの不均質性を表現するという要求とコンピュータの発達とが相俟って、取り扱うグリッドのスケールが減小してきているのだと思います。

三つ目は、今日のテーマでもあるMultiDisciplinaryという言葉に表されるように、他分野のデータを統合して使用する方向です。私がアメリカでSimulationのコースを取った時に、先生が最初に言ったことは、「君達Reservoir Engineerがまず最初にやることは、Geologistの作成したレイヤリングを破いて捨てることだ」というようなことでした。これは別にGeologistと喧嘩をしろという意味ではなく、堆積、岩相、砂の連続性等をベースに作るGeologistModelingと、Reservoir Engineeringで必要なフローをべースにしたModelingとは違うので、「自分達できちんとフローをベースにしたモデルを考えなさい。Geologistが書いてきたものをそのまま信用するのではない」という、当時としては比較的斬新な考えだったと思います。しかしながら、今では先程も言いましたように、高い精度での解析や、小さなグリッドを用いた不均質性の表現などが求められるようになってきているため、コア、検層、坑井テストデータといったReservoir Engineering関係のデータだけではどうしても限界があり、GeologistあるいはGeophysicistの方の力を借りてReservoir特性の空間分布等を推定する必要が生じてきているわけです。

四つ目は、先程少し議論になったと思いますが、今迄はDeterministicに唯一無二のReservoir Modelを作成していたのを、見てきたような嘘をつくのはもうやめてGeostatistics技術などを用いて不確実性を表現することにより、フレキシブルにモデルを構築しようとする方向です。山田さんの話にもありましたようにRealizationをいくつも作るというのも一つの方法だろうと思いますが、Reservoirのモデル化に柔軟性をつけよう、ということです。以上の四つの特徴の内のいくつかを持った油層評価法を、従来の油層評価技術とは区別して、あえてReservoir Characterizationと呼んでいるのだと思います。

1-b.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(モデル構築作業における客観性の追求と逆解析的手法)

山田:我々エンジニアに課せられた使命は客観性の追求であって、そのための努力はレイヤーケーキモデルの時代から現在にいたるまで、そして将来も続いて行くと思います。しかしながら、先程の講演の中で(自動ヒストリーマッチングにおけるそれをめぐって)議論があったようですが、客観性を求めるということを、ただちに人間の思考を排除することとつなげてはならないと思います。全てをBlack Boxにすれば100%客観的なモデルができるか?それは有り得ない。地質を数値モデルに変換すること自体が主観的な作業で、完全に客観的なモデルなど存在し得ないのです。むしろスタディのいろいろなステップにおいてエンジニアの判断が入って然るべきだし、そうした技術的判断の積み上げの上に構築されたモデルを使って評価すべきだと思います。そうすれば仮にプロジェクトが失敗した場合には、その原因を特定できる。全てがBlack Boxだと、何が悪かったのか全くわからないということになってしまいます。

在原:私もそう思いました。登坂先生の講演の結論の方で、人間がやる部分と機械がやる部分を組み合わせるような努力をしなければいけないのではないかという感じがしましたが。

登坂:いわゆる初期のモデル、要するに境界条件をあてるとか、物性とかは、地質屋の手を経なければできないと思う。ただし、それが与えられた時にマッチするのかしないのか、というような判断が入ってくる時には、人間がやるよりも早くできる、いわゆるそのモデルから始めて客観的にある解に行き着く。その段階でおかしければ、又人間が直したらいいのではないか。ですから、その間だけ人間は関与しなくてもよいという部分があってもいい、というのが私の考え方です。

栗原:登坂先生はちよっと強調されすぎているのではありませんか?例えば、人間の手を介在しないマッチングというのは、石油の分野でもいくらでも行われています。その代表例にPVTマッチングというのがあります。EOS Parameterを人間が逐一変えいていく、そんなことをしていたらキリがありませんのでコンピュータに自動的にマッチングをやらせるわけです。先程話に出たNeural Networkもある意味では人間が介在せず、中で何をやっているのかわからないBlack Boxが答えを出してくれる手法ではないでしょうか。そういったものがSupplementaryなツールとして利用できるというのは間違いないと思います。ただ、登坂先生はそれだけだとおっしゃるので誤解を招くのではないでしょうか。

江藤:私が申し上げたいのは、答えが間違っているのではなくて、マッチすべきReservoirのモデルがまだ不十分だということです。不十分なモデルに一生懸命正確にあわせようとしても何の意味もないと言っているのです。作ってある数値モデルが非常に誤りを多く含んでいるものだということを認識した人間がやることによって、途中でどういう部分がこの特定のReservoirにあわないのだということがわかってくる。例えば絶対浸透率の分布がおかしいとかフェーズの部分がおかしいとか、そういう判断を入れてやらなければ、まだまだ良好なマッチングは得られない状況である。現実がそういう段階であるのに、一生懸命numerical modelにマッチさせようという努力は、ちょっとオプティミスティックなのでは?というのが私の意見です。

1-c.Reservoir Characterizationをどの様に定義するか。(Multi-Disciplinary Approachの今昔)

在原:最初の方に戻って、Reservoir Characterizationの位置づけということでもう少し話しをしてもらおうと思うのですが。

佐藤Reservoir Characterizationという言葉が使われ始めてから何かがすごく変ったという意識はありません。今日の副題に「Multi-disciplinary」とありますが、油層の「Characterize」はエンジニアだけで(またはGeologistだけで)出来るものではなく、以前からMulti-disciplinaryApproachをしてきたのだと思います。

1985年に初めてReservoir Characterizationと銘打った会議が開かれましたが、LakeCarrollが纏めたその編纂録を見ると、言葉の定義が話題に上った様で、「地質情報と空間的分散に不確実性があることを認識した上で、定量的油層特性を空間にアサインするプロセス」をReservoir Characterizationの定義としています。これにしても、以前から地質情報は当然認識した上でCharacterizationに取り組んできたわけですし、空間分散に不確実性が内在していることも認識していたのだと思いますので取り分け新しい概念とは思いませんが、ここ最近騒がれている理由は、地質情報にせよ不確実性にせよ、より定量化した見方が出来るようになってきたところにあると思われます。加えて、Characterizationにはこれまであまり関係がなかったSeismicの分野からの情報も例えばVSP等では分解能も1m程度になっているわけで、これらを取り込む動きがあることも挙げられます。

要するに、近年のReservoir Characterization熱は、「定量化」と「異分野間インターフェースの向上」に拠っており、それをうまく纏める手段が必要だということで、いろいろな研究が行なわれ、よく話題にのぼるのかなと感じています。

江藤:最近の石油会社間の動きとは、その石油会社が管理している油田についてひとつの油層モデルを作ろうという動きなのです。今迄は、物探のセクションは物探が、地質のセクションは地質が、油層のセクションは油層が各々自分のモデルを持っていた。そういうものを石油会社として統一した油層モデルにしたい。その時に問題になるのは、各々取ってきたデータのサンプリングボリュームが違うこと。今迄はそういう異なったサンプリングボリューム(スケールと言っても良い)の違うものをひとつのモデルに持ってくる手法をなかなか思い付かなかった。それを、例えばジオスタティスティックのような概念で異なったスケールでそれをモデルに取り込むことはある程度可能になりました。私はそれだけが唯一の手法だとは言わないが、少なくとも今そういうものが与えられている。それを使って定量的にデータをトランスファーしようという動きがある。そのことによって物探がその震探の再解析をして新しい解釈が出たら、それをすぐそのまま会社のモデルに対してアップデートする。地質もまた新たな解釈があったらそれをインプットする。油層の方もまたプロダクションヒストリーが 増えることによって、或いは新たなウェルテストをすることによって、情報があったらそれをモデルに反映させる。ということで、常に会社は最新の情報を反映したReservoir Modelを持つことができる。そういう方向に動いているように見えます。

会場1.田崎(関東天然ガス(株)):今、江藤さんがおっしゃったことは、私もその通りだと思います。私が10年近く前にSimulatorとしてモデルを作ったのですが、それは流れだけのSimulatorというかモデルです。これを今TRCと共同研究でもう一つレベルを上げて、流れだけではなくて応力解析も入れて、要するに地盤沈下の予測をするためのモデルを作ろうとしているのです。もし自動ヒストリーマッチングをこれに採用しようとすると、まず不可能だと思う。流れと応力を同時に又解析、ということになると膨大な量になるのでまず不可能だと思う。

もう一つは、今江藤さんがおっしゃったように、きちんとした地層モデル、Reservoirの流れのモデルが必要になってくる。地層といっても地表面までの応力解析ですから、Reservoirの地層だけでは済まない。地層までの地表面までのものが必要になってくるので、これがあるとかなりきちんとしたモデルに仕上げないと、年間数mmから20mm前後の沈下量を予測しようとしても、恐らく狂いが出てくると思う。そういう点で、できるだけモデルというのは正しく、ヒストリーが合えばいいという感覚で作られない方がいいのではないかと思います。

2.油層評価の不確定性と自動ヒストリーマッチング

在原:先程、登坂先生の話の一番最初に、探鉱開発のフェーズが進んでいくとデータの量が累計的に増加していき、モデルを作る観点からは不確定性なものから、deterministicなものに変わっていく。一般的にはそうだと思うが、例えば実際の場合だと、アラビア石油(株)の場合、コンピューターの能力にも関係があったのでしょうが比較的均質的に扱っていたものが、最近はカフジ油田、大きな油田でも非均質的なApproachをしてると聞いている。

もう一つ、何年か前の石油学会の講演会の時に、大慶油田関連の中国人の方を招いて講演して頂いた時の話しですが、大慶油田というのは非常に細かい層状の貯留層だと思うが、井戸の数も相当掘られてると思う。彼らがしているのは、infill drillingのキャンペーンのようなことで、第一次(各井戸の真ん中に1本ずつ掘っている)・第二次(更にその中に掘っていった)、そのinfill drillingの前と後のいわゆる坑井間相関の絵を見せておりましたが、掘っていくにつれて益々、layercontinuityが悪くなっている。ということは、進むにつれて不確定性が増えている。私はそのように理解して非常に面白かったのですが。そういう観点から登坂先生何かありましたらお願いします。

登坂:説明も悪かったのかもしれませんが、かなり自動ヒストリマッチングというと誤解されている面があるようです。いわゆる自動ヒストリマッチングというのは、地質屋さんがある程度のベースのReservoir Modelを作ってそれをdiscretizeした、その段階から始まるのです。そこまでは地質屋さんが作る。Reservoir屋さんは物性をある程度与える。その後から人間がいちいち一回ランしてはパフォーマンス・プロットを見て、ここを直そうとかそれをやっていくのではない。これを機械にやらせるというのが、自動ヒストリマッチングなのです。ですから、多分誤解されている方が多いと思いますが、別に地質学的な知見が何等いらないんだという意味は全くないのです。それから、もし良くないモデルならば、当然ヒストリマッチングをいくら回しても収斂していかない。ということは、収斂しないモデルならば、逆に言えば早めにそのモデルがいけないということがわかって棄却ができる。又、地質に戻ってもう少し考え直すとかいう形で、境界条件も含めた形でモデル全体をもう少し組み直さなければいけないというニーズが結果としてわかってくる。そういう意味の使い方としては非常にいい道具であって、アメリカ・ヨーロッパ等はどんどん開発に力を入れてますから、当然出てくると思う。ですからこの研究がいけ ないという話になると、困ります。

江藤:英語名ではautomatedではありませんか?

登坂:いいえ。基本的にアメリカの論文ではautomaticという呼び方をしています。

江藤:スタンフォードのアジーズ博士も学生にそういうことをさせようとして、そのことについて聞いたら、automaticじゃないautomatedである。automaticとはBlack Boxに合わせる語感があって、先程私が心配したようなことになってしまう。automatedとは人力をある程度セーブするような方向での限定された使用法だという注釈がついています。そこのところを気を付けてやらないと。

登坂:それも誤解だと思います。いわゆる基本的な油層モデルを作った段階で、automaticヒストリマッチングをかけた時には、もうBlack Boxなんです。Black Boxの中身をどんどん同定していく。そういう意味合いですから。そこに誤解があるのではないでしょうか?

在原:後程またそこに戻ると思いますので、この辺で。

会場2.大野剛正(石油資源開発(株)):教えて頂きたいのですが、Stochastic Modelでかなり数多くのRealizationを作りますよね。それぞれについてヒストリマッチングはやられるのですか?

江藤:それに関しては先程山田さんがおっしゃっていたいろいろなOptionがありますが、理想的にはヒストリマッチングをやるべきでしょうけど、現実的には不可能な話です。ですから、いろんなrankingとかそういう問題がでる。それについても山田さんの見解ではかなり難しいということでしたが、それはその通りです。私の場合どういう風にそこのところを制限しているか、あるいは縛りをかけるかということについては、今回鈴木さんの講演内容が豊富だったので割愛したのですが、その後のサブゾーンの決定の仕方でその分が入ってくるのです。どういう風にサブゾーンを決定するかについては、彼女が示した各サブゾーンの中の四つのrock typeの分布図というのがありましたね。あれを縛りにするわけです。各サブゾーンの中でrock typeを分布させるのですが、あの場合はいろんなログの値(Parameter)を分布させて、ログの値のlinear combinationによってrock typeは計算される。rock typeのヒストグラムが得られた時にこちらが用意してたヒストグラムにあわなければ、そのRealizationは捨てて次のRealizationを行う。最終的にこちらが用意していたrock typeの分布に近いものを採用する、という形にしようと思っています。これはたまたま我々がそういうデータを持っていたためであり、それは一つのやり方です。

又、別のやり方として考えられるのは、震探のデータがあった場合、acoustic impedanceと孔隙率の間に何等かの関係、厳密な関数関係というのは通常は得られないのですが、漠然とした関係があり、それをソフトデータとして使う。しかも通常震探のデータはResolutionの関係で、各サブレーヤーごとにいくつだという推定はできません。ですからグロスとしての平均孔隙率があるXY座標について推定される、ということになるのです。そのReservoirのグロスに対して震探のデータを縛りに使うということは可能です。各サブレイヤーについては、いろいろなRealizationで、例えば孔隙率なら孔隙率を3次元的に分布させるが、でてきた中で丁度深度方向についての平均値が震探の方で推定された値とイプシロンの間でマッチすればいいという形で採用する。即ちここで言いたいことは、単にRealizationを繰り返すだけではなく、それをストップする第三のデータが用意できた時にこれだということが言えるのではないか。それがない時には難しいですね。どのRealizationも 同じように確からしいし、且つ各坑井での拘束条件があっているのですから、これはそれなしには難しい話です。

大野:確からしいといいますが、ヒストリーとマッチしてなければforecastも信頼できないという気がするのですが?

江藤:勿論ヒストリーがそれなりにあっていなければforecastは信頼できないでしょう。

大野:そういう意味では、多くのRealizationマッチングをする時には自動ヒストリーマッチングが使えれば非常に有用なものではないでしょうか。

江藤:自動ヒストリマッチングについて何を独立変数として、どういう風に変えるのかというのが問題です。しかし登坂先生の例で申し上げますと、あれはフェーズの問題が入ってこないのです。フェーズの問題が入ってくると大変な話で、それを一個一個どういう風に変えるかという、その組み合わせを考えるだけでも気が狂いそうになります。そこのところにはそれこそGeologistEngineerの知恵が入ってきて、pre-sortedというか選択の幅を狭めてやらないといけないでしょうね。

大野:自動ヒストリーマッチングにはまだ解決されるべき問題が多く残っているという、そういう意味ですね。

江藤:そういう意味で、そのマッチさせるべき目的の関数がきちんとしてない時代に一生懸命やっても、何をやっているのかわからないのではないか、というのが私の意識です。

大野:ありがとうございます。

会場3.田崎:江藤さんとはちょっと違う立場なんですが、自動ヒストリーマッチングを油層の評価等に使う場合の手法としては、それでもいいかもしれません。少々間違っても会社が損をする程度で済むでしょう。先程の発表の時に土木系の予測に使うと事故という問題が出てくるとのことでしたが、トンネルや橋、ダムのようなものの基礎をきちんとするのにどうしたらいいかというのを、このSimulatorはこの手法でやった予測値を使って、そのリスクとして安全率をかけたとしても、もしかしたら狂ってるかもしれない。そうするとこれは非常に危険な問題になってきます。そういう時、土木は何故そういうことをやらないのか。やはり地表近い問題なので、コアをたくさん取ってきて、それをとにかく調べるという手法を使ってやってるのです。そういうことをやれるんでしたら、自動マッチング法を使う必要はない。逆に地下のことをやるのであれば、そんなに自動マッチング法をしてまで綺麗にマッチングをする必要はないのではと思う。何の為に自動マッチング法を使うのだろう。要するに道具ですから、使い方の問題だと思う。

登坂:土木の方も、例えば先程のは20m間隔で4本入っているんですが、あれ以上に更に細かくするということはできないんです。20mであれだけデータ(非常に沢山ある)を取りながらも、結局は中がわからないんです。そういうことがあって、あまりにもGeologyにディペンドしたような考え方をしていると、私はよく神の領域と言うのですが、地質とはそういうものであってわからないんです。そうなれば次善の策として、ああいう領域をdiscretizeした後の、その物性を捉える。その物性によってマッチングをある程度する。そうしたらある程度マッチングしているモデルがいけないという論拠はないわけです。一般には。

田崎:それではマッチングさせるというか、間をきちんと予測しなくてはいけない理由はあるのですか?わからないならわからないなりに技術者というのがそれで設計しないといけない問題だろうと思う。

会場4.大野(TRC):これだけ人が集まっているのに話題が一方に傾いているようなのですが。

3.Reservoir CharacterizationKeyとなる要素技術について

在原:話をこちらに戻したいと思います。Reservoir Characterizationの位置づけということで、先程から栗原さんと佐藤さんが非均質性というか不確定性を定量化するようなことが取り上げられてきた。それから、Multi-DisciplinaryApproachというか、いろんなデータを総合的に取り込んでいくというようなことが進んできたということだと思う。そういう観点から、特にKeyとなる要素技術というものをどういう風に見ておられるかということで、それに関連したことで何かお願いします。

難波:各種データを統合するのが一つのトレンドなのは明らかで、もう一つがUpscalingというもの。大きく分けてこの二つがジェネラルな研究動向という事なんだと思います。しかし、一つの対象Reservoirが見つかって、我々がスタディするということになると、ReservoirごとにKeyになる要素は全く違ってくると思う。非均質性が必ずしも支配してない場合がたくさんあって、重力が支配したりキャピラリープレッシャーが支配したりというようなことがあります。何が重要なのか、Reservoirごとに違うというのが私の印象です。

ここで失敗談を用意してあるので、ご説明したいと思います。

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5年位前に興味があってやったことがあるんですが、いろいろファシス分けをしました。浸透率場を作って数オーダー違いの浸透率分布が出てくるんですが、Flow Simulationの方にいくと、ほとんど浸透率の方に依存してないような、重力と今から考えればキャピラリープレッシャーが支配しているような結果になった。対象層はwater-wetReservoirということで、キャピラリープレッシャーのdrainage curveをそのまま使ったんですが、最初圧入水は浸透率のいいところに入っていきますが、どんどんまわりのところにキャピラリープレッシャーの影響で浸透していく現象が起きてしまう。そっちの方が浸透率のコントラストよりもずっと大きいことがありました。ですから、これが正しいとするとあまりこっちの方(浸透率場の作成)で苦労しても意味がなかったのではないかなという経験をしています。

もう一つ、アブダビでの勤務時にやったことですが、水攻法をやってまして、油層内の薄い層を水が走ってるっていう事実がいろいろと観測されているわけですが、これをモデルでなかなか再現できなくて、相当無理に高浸透率の薄い層を作ってもなかなか水の走っていく様子が出てこない。どうしても低浸透率層の方がキャピラリープレッシャーが大きいので高浸透率層中の水を吸い込んでしまう。コアデータ等見直したり、Reservoir Conditionのデータやキャピラリプレッシャーをとり直した結果、対象層がオイルウェットであり、キャピラリープレッシャーはネガティブであるということでやってみると、ようやく観測されたような状況が再現できたということがあります。ですから、今日の皆さんの講演の中と私の経験とちょっと違う点は、浸透率分布の場を作るという事も重要なんだが相当な苦労をしてもきかないケースも十分にある。ですから、山田さんがおっしゃったように、最初に何が効くかというのを見極めてからやらないと、相当労力の無駄になると思う。それが一点です。

もう一点“Key”ということで物探ですとか各種との統合だと皆さんもその通りだと思ってらっしゃるだろうけど、一つ出てこなかったのは地質の方のファシスモデリングではないかと思います。バリオグラムを作るということですけども、実は主観的に決めている例が多いと思う。もう少し信頼性のあるバリオグラムを作るっていう面でもファシスモデルは定量的には少し問題があるかもしれないが、ファシスの連続性のオーダーを決めるという場合には十分使えるようなレベルにあるという印象を持ちましたので、その辺を利用するのが今後のKeyのひとつかなと思いました。

後“ダイナミック”ということでひとこと。江藤先生がだいぶ厳しくおっしゃいましたが、ジオスタでいうアニーリングは動的なヒストリーデータも含めて目的関数を最小化する手法だと理解しているが、結局私から見るとヒストリマッチングとあまり変わらないような気がするのだが、どうでしょうか?

江藤:通常ジオスタのところからでてくるアニーリングというのは、バリオグラムのような非常にマッチする目的がハッキリしてるものに対してマッチしようとしているから、これは問題は単純なんです。油層モデル全体に対してマッチするという途方もないことは考えていないわけです。

4-a.地質、物探、技術者から観たReservoir Characterization(地質、震探dataの活用)

在原:それではせっかく地質の方、地球物理の方がたくさんおられると思いますので、地質関係の方からReservoir Characterizationをどのように見るか一般的な話でも結構ですが。

岩本:今日の6つの講演で一番興味深かったのは、松原さんのやられたスノーレ油田です。これは物探のデータがまだ出てなくて、実際のデータの解釈までいってないというところが残念でした。それから河川堆積物の似たような堆積関係で堆積した砂の分布を露頭のデータから推測する。砂の分布の方向性とか分布面積等がある程度数値化されてモデルの中に入ってくるのだろうと思います。伊藤君の話も面白かったんですが、残念ながら震探のデータがなくて、それも今後の課題の一つになると思っております。

伊藤:私は油層技術者ですが、私の今日の講演は地質技術者との共同作業ですので、一般的なところで。今迄の話を聞いて思うのですが、こちらがいいのかあちらがいいのかという、何というか二つに一つといった話し方を皆さんなさっていると思うのですが、基本的には二つ方法があればどちらが使えるか、両方やってみればいいと思う。automaticの話でも、automaticをしている間、つまり3日間なりコンピューターを動かしている間、人間がその時に別の方法を使って、最後に答えを両方照らしあわせて、差があったら何かが足りないとかそういう風に次の段階に進めばいい。

私が昔思ったのは、Hydraulic Unitがでた時に、Geologyの人がHydraulic Unitとテクスチャーを比べてみて、僕の所へ持ってきて「ほら、全然違う。あわない。Hydraulic Unitは使えない」と言われたんです。でも僕はその時に、ここで合わないんだから何か一つパラメーターが違うんだ、足りないんだ、だからどこかから探してくればいい。という風に思ったわけです。それで別の方にもう少しいけばいいとか思いました。だからここで二つの方法があるのなら二つ重ねて、その差が出てきたら何か次の方法に使えばいいと思う。そうすればMulti-Disciplinary

例えば今の話だとオートメィテックの人とそうでない人があって、その二つの結果を合わせてみてやってみたらいい。同じReservoirの人でも考え方は違う。その二つの手法みたいなものをあわせてみるとそれもMulti-Disciplinaryだと思う。決してReservoir EngineerGeologistということではなくても、考え方の違う人達があわさってその差を見つける。これも一つの手法だと思います。

在原:続いて地球物理Seismicの方に移りますが、我々Engineerからすると、特に私なんかは非常に期待し、最後の拠り所という感じが強いんです。しかし必ずしもそういう楽観的なものではないという考えをかなりお持ちのようですが、島田さん何かSeismicについてお願いします。

島田:物理探査技術者以外の人を対象に地震探査データを初めとする物理探査データを用いたReservoir Characterizationの現状、或いは問題点等を説明して欲しいということでしたので簡単に説明します。

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最初に断っておきますが、これから述べることは、あくまでも私個人的な考え方です。幸いにもここに沢山の物理探査技術者の方がお集まりなので、もし間違っていると感じたり、他の意見がありましたら、述べていただきたいと思います。

まず簡単に、通常我々が地震探査データの解釈をする場合にどういった段階を踏むかということを説明します。探鉱、生産の段階を追っていると考えてもらって結構です。

最初に地震探査データを使って何をするかというと、いわゆるホライゾン追跡に代表される構造解釈を行います。これは、探鉱の初期段階に相当します。次の段階としては、構造解釈で摘出された構造の中身、例えば砂がどこにあるか、或いは砂の連続性といった層序学的な解釈を行います。これは、探鉱中期段階に相当すると考えられます。そして、次の段階にくるものとして、Reservoir Characterizationを挙げることができます。詳細な貯留層特性、例えば細かな岩相、孔隙率、孔隙内流体の種類、有効層圧、フラクチャーの有無、浸透率といったものを地震探査データから解釈することを試みるもので、探鉱後期から生産に以降する段階で行われるべきものです。最終段階にくるのが、Dynamic Reservoir Characterizationと呼ばれるもので、生産に以降した後の生産に伴う油、ガスの流れ、或いは圧入水、ガスの流れを地震探査手法を用いてモニタリングするものです。

以上の地震探査データ解釈の流れの中で、当然ながら、要求される分解能は後の段階ほど高くなり、それとともに結果の不確実性は増すことになります。現在は、Reservoir Characterizationの段階がほぼ実用化されつつあるという状況で、様々な要因により成功例、失敗例が入り交じっているというのが実状だと思います。一般的に学会、論文などで報告されるのは、Reservoir Characterizationの成功例が多いですが、それ程簡単なものではないと認識しております。この状況は、私よりも実油田の操業を通して実際にデータを扱っている方がよくご存知だと思います。そして現在盛んに研究対象となっているのが、最終段階にあたる Dynamic Reservoir Characterizationです。生産過程における流体の挙動に伴うEORに伴う貯留層の弾性的性質の変化を想定したモデリングによるフィージビリティースタディや、油田の一部において実際にデータを取得して手法の有効性を評価するパイロットスタディとかが行われています。地震探査データを用いたDynamic Reservoir Characterizationの有効性については、貯留層および生産手法などの状況により、有効性が示されたり、そうでなかったりするのが現状です。例えば先程の松原さんの説明にもありましたように、フィジビリティースタディをして、肯定的な結果が出たらやってみるといった具合です。いずれにしろ、物理探査では、今一番ホットな分野です。

次に、物理探査がReservoir Characterizationでどういう役割をし、そのためにはどの様な条件を考慮に入れておく必要があるかを述べることとします。その役割を一言で言うと、貯留層のパフォーマンスを予測する為に使用する詳細な貯留層モデルを構築する為に、空間的貯留層特性分布を記述するということになります。しかも経済的な方法でという制約がつきます。

Reservoir Characterizationを行う上で、物理探査、特に地震探査が有する利点には以下のものがあります。@非常に広範囲で連続的なデータが得られる。A着目している特性の位置がある程度の精度で決められる。B貯留層特性と関連する物理的な性質の応答を見ている。C貯留層に触れない、乱さない手法である。D可視化が容易である。E坑井掘削費用等に比べて得られるデータ量に対する費用が相対的に安い。

次に、地震探査データをReservoir Characterizationに用いる上で問題となる制限ですが、大きく分けて2つあります。それは、詳細な貯留層特性を求めるには分解能が不十分であるという問題と求めようとする複数の貯留層特性を一意に求めることが困難であるという問題です。

一つ目の問題は、利点である広い探査範囲が、分解能とトレードオフの関係にあるということです。地震探査にもいろいろな手法がありますが、一般に広い範囲をカバーするような手法は分解能が低くなります。一般的に我々が通常使用する三次元地震探査を初めとする地表地震探査は、油田全体をカバーすることができますが、分解能としては、通常数10メータが限界と言えます。勿論、分解能は、貯留層深度、岩相などの諸条件、取得データの質、処理フローなどに依存し、時に10メータの分解能があると言われますが、平均的に数10メータと考えるのが妥当だと思います。また、最近研究されている坑井間地震探査は、メータオーダーの分解能を持つと言われていますが、カバーする範囲はせいぜい数100メータ離れた坑井間断面のみです。坑井検層データは、数10センチ以下の分解能を有しますが、坑跡に沿った情報のみを与えます。更にコア測定値は、数センチ以下の非常に精密な情報を与えますが、 点データでしかありません。この様な、探査範囲、分解能の異なる探査手法のデータを有機的に連結するということが大きな課題です。

二つ目の問題は、先程の江藤さんの話とも関連しますが、岩相、孔隙率、浸透率、孔隙内流体などの貯留層特性とそれに応答する地震探査データの特性との関係が非常に曖昧だということです。地震探査データの応答は、岩石の速度と密度をかけた音響インピーダンスに起因するものですが、それは多くの貯留層特性のコンビネーションとして値が決まります。従って、地震探査データから貯留層特性を導出する場合には、個々の特性の影響を分離する必要があり、一般的には一意に個々の特性を決定できないという問題が生じます。

これらの問題をいかに克服するかというのが、現在盛んに研究されております。地震探査データの不十分な分解能および貯留層特性との曖昧な関係の問題を解決するには、まず、求められている分解能の程度、或いは貯留層特性の種類を把握する必要があります。一般的に物理探査データの分解能が低いと言われると、具体的な目標を設定せず、無理をして1メータ、時には数10センチまでを目指して解析を行い挫折してしまうことがしばしば見られます。しかし、解析の目的は、油層技術者がSimulationに使用する油層モデルを構築するための貯留層特性或いは流体の挙動に関連する特性を把握することなので、最終的にそれを使う油層技術者がどの程度の分解能を求めているのか、1メータなのか10メータなのか、どういう貯留層特性を求めているのか、孔隙率なのか浸透率なのか或いは難波さんが先程おっしゃっていましたが違うパラメータなのか、そういったことをまず理解して目標を設定する必要がある ということです。

分解能の問題に関連する話の一例として、ある著名な研究者が学会の席で発言した内容を紹介します。「油層Simulation用の油層モデルを構築する際には、地球統計学を用いて非常に詳細な、例えば1メータ或いは数10センチオーダーの、貯留層特性分布を求めてそれをまたアップスケーリングする。それならば最初からアップスケーリングしたところに目標をあわせて地震探査データを解析すればいいのではないか。」という議論です。個人的には納得できる意見だと思います。

次に問題になるのが、油層技術者の求める分解能および貯留層特性を理解した上で、どうやってそこまでの分解能を実現するか、或いは各貯留層特性を導出するかということです。そのためには、地震探査データの解析に他のデータから何らかの制約を与える必要があります。そこで有効なのが、Multi-Disciplinary Approachということになります。地質、油層工学、岩石物性、油層評価の各データを制約条件に加えることによって、精度の高い貯留層特性が得られるというわけです。

最後に、三次元地震探査データを使用したReservoir Characterizationの代表的な手順について述べます。まず、ホライゾン追跡による構造解釈を行い、貯留層のレイヤリングを実施します。そのレイヤリングを参考にして、インバージョンとか地震波属性抽出を行い、より貯留層特性に関連したデータボリュームへの変換を行います。そしてその地震波属性などと孔隙率、浸透率といった貯留層特性の間で相関解析を実施して、地震波属性から貯留層特性を空間的にマッピングするために使用する関係を求めます。その関係を求め、マッピングするツールとして、回帰分析、地球統計学、或いはニューラルネットワークなどの手法が使用されます。

今述べた手順は物理探査から見ると総括して分解能を高め、より詳細に貯留層特性分布を求めるというダウンスケーリングになるんですが、次の段階でそれをアップスケーリングして、油層Simulation用の油層モデルが作成されます。それを用いてヒストリーマッチングを行い、必要に応じてある段階まで戻って、油層モデルを修正するための解析のやり直しを行います。この手順を繰り返すことにより、最終的に最適な油層モデルを構築するというのが、私の考えている手順です。本手順の各々の段階で、坑井データとかシーケンス層序学などの様々な地質データや坑井テストデータ、コアを用いた孔隙率、浸透率の測定値などの油層工学データを有機的に結合して解析を行うMulti-Disciplinary Approachを実践することにより、解析精度の向上を実現できるというわけです。

最後に最近物探コントラクターから入手した資料の中から、面白いものを一つ紹介します。地震探査データの解釈結果を用いて、水平坑井の坑跡を決定したケースに係わる話です。通常の地震探査データ解釈の結果からは、油層から効率良く油を回収するには、2本の水平坑井が必要と考えられていました。しかしながら、地震波属性解析をして、振幅の情報を抽出したことによって、油層の連続性が明らかになり、坑跡をうまくコントロールすることにより1本の水平坑井で効率的に油が回収できることが判明し、そのおかげで、数億円が節約されたということです。このように目的意識をもって必要となる精度を理解した上で解析を行うことにより、かなり経済性を改善する結果を得ることが可能となります。ということで、物理探査技術も捨てたものではないということです。

4-b.地質、物探、技術者から観たReservoir Characterization(データの分解能力とUpscalingDownscaling

在原:ありがとうございました。今のSeismicの効用と限界の話に関連して何か?

江藤:島田さんのお話の中に誤解があったと思うので訂正させて下さい。

うしろに近い所だったと思いますが、Upscaleした値を空間に分布させた方がリーズナブルであるということをおっしゃっていましたが、それはどういう数値を空間に分布させるかに依存するのです。通常、例えばログでの値、若しくはコアのデータを分布させるのであれば、そのサンプリングスペースというのがある。コアだったら数cm、ログだったらフィートのオーダーです。そのデータを空間に分布させるのであれば、同じようなブロックサイズにしか分布できない。Upscaleする為にはコントロールポイント、拘束条件をするところでそのサイズで数十m、或いは数百mのもので性質が決まるようなものがあるのならば分布はできます。大事なことは、そのデータが得られたサンプルサイズを対象にしか分布できない。それから先を大きいサイズに持ってくるにはどうしても、Upscalingの手法に頼らなければいけない。ただUpscalingの 手法は今だもって良くわからない、というのが本音でどうしようもないのですが。

島田:今、江藤さんがおっしゃったことに全然異存はありません。私が言いたかったのは、求めようとする貯留層特性によって必要な分解能が異なるということです。例えば、浸透率などは薄い高浸透率層が大きく寄与するため、高い分解能が要求され、1メータでも不十分な場合があります。それに対して孔隙率を求める場合に、油層モデルにおいて深度方向に10メータ間の平均孔隙率を採用するという条件が先にあれば、最初からその平均値を求めるという設定で地震波属性の相関解析をするべきだということです。もともと地震探査は10メータ以下の分解能はないのに加え、求められている分解能が10メータであるにも係わらず、それ以上の分解能を目指す必要はないということです。勿論、必要とされる分解能は、ケースバイケースであり、特性によって違う訳ですから、油層技術者がどの特性をどのような分解能で使用したいと考えているかを理解する必要があるということです。

山田:物探で得られる解像度というのは、最高でもUpscaleされたサイズ程度です。しかし油層全体に物性を分布させる段階では、例えばその10m四方のサイズのままでもいいのではないかと思います。そのためにブロッククリギング等の方法があります。ただし、そのためには分布させた後で、坑井でのデータにコンストレインしながら、Reservoir Engineerの要求するサイズまで、Downscaleできる適当な方法が開発されなければなりませんが。

江藤:深度方向にはできるけど水平方向にはできないでしょう。Upscaleをする時に深度方向に10m分だけintegrateできるけれど。

登坂:スケールの問題がいろいろとあると思うのですが、山田さんがおっしゃられたように、震探スケールだと数10mの大台にどうしてもいってしまいます。それで江藤先生のイメージでは多分、core-scaleとかいうかなり小さいスケールだと思う。いわゆるStochastic Simulationで一番問題となるのは、こういう小さなものを空間にばらまける、三次元的にばらまけるというベースがないような気がして、いつもそこがわからないです。特に水平方向が問題です。井戸というのは数100m離れているので、基本的には相関距離を超えているという意味合いがあります。鉱山なんかでGeostatisticsがある程度使われた、というのはもう少し間隔が細かい。そういう意味ではある程度相関がとれるということだと思うんですが。そういう意味合いで、一回江藤先生にお聞きしたいんですが、そういうような細かい物をバラまけるベースがあるのでしょうか?

在原:後で戻りますので、会場の方から何か

会場5.吉岡(石油資源開発(株)):横方向のバリオグラムの話だと思うんですが、そういう所でかえって今の三次元の震探データを活用できればと思っています。やはり物探データ、結局Resolutionが悪いけど何がメリットあるかというと、空間的なcoverageが非常に大きいということです。いろいろattributeもありますけども、そういうものと孔隙率なりが多少関係しているのではないか。或いは振幅のvariation、空間的なvariationが孔隙率のvariationを反映しているのではないかという推定のもとに、バリオグラムを代用するという使い方はできると思う。

登坂Resolutionのスケールという意味ですか?

吉岡:坑井間の距離が非常にsparseだから、横方向のバリオグラム、つまり相関距離は推定できない筈じゃないかとおっしゃられたことに対して回答したつもりですが。

登坂:今の段階でいわゆる震探とそういうもの、ある物性とのcorrelationはできないのですか?

島田:相関関係はかなり明らかになっております。

登坂:私が言いたいのは、先程言われたスケールの問題で、core-scaleのものを空間に分布するようなイメージがあります。Stochastic Simulationには。そういう時に、今言われた震探とのcorrelationという話ならば、震探のスケールがあって、それにあわせた形でばらまくというのが筋のような気がするのですが。

江藤:私達が言っているのは、得られたデータのスケールに基づいて比較をしなければいけないということで、小さいサンプルから得られたものは小さい物で、震探からの情報に対する時にはそのサイズまでUpscaleしてもっていく。それからGeologicalなオブザベーションに対する時にはそのサイズまで更にUpscaleする、というようにUpscaleの段階が何段階にもある。どのサイズにするかというのは、どういうサイズのサンプルと比較したいかということで決まります。

山田:登坂先生の御質問は、いわゆるステーショナリティの仮定の問題に関連すると思います。例えばクリギングをやる時には、First Order Stationaryである。つまりReservoirのどこをとっても期待値が一定であるという仮定をたてます。同じようにバリオグラムによるモデリングをする時にはSecond Order Stationaryである。つまりReservoirのどこをとっても同じ相関距離を仮定する訳です。ただこの仮定については証明のしようが無い。Reservoir Forecastの不確定性を本当に評価しようというのだったら、ステーショナリティからひっくり返せという人もいます。ただそうしてしまうと今度はコンターマップさえ描けなくなってしまう。実際問題として、我々はステーショナリティを仮定して作業しているけれど、そういう仮説の上に立っているということは認識しなければならない。

江藤:今のことで補足しますと、堆積環境が非常に異なった地域というのがわかるのだったら、そこでスタディの領域を限定してしまえばかなり安全です。

5-a.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(コンピューター能力の発展との関係)

在原:先程の山田さんの講演で時間が足りなかったのでそれに戻りますが、計算量を圧縮する為の手法としていくつか挙げたわけですが、特に我々Engineerが興味があるのは、油層の細かなモデルをそのまま使えればいいのですが(使える方向に来ているようですが)、スケールアップをしなくてもそのままやれそうな時代が目の前に来ているような気もする。それともう一つ、スケールアップの手法もかなりいい所にきて、コマーシャルのソフトウェアがあるのかどうかわかりませんが、その方向からもかなりいい所にきているような気がしますが。

山田:確かに流線/流管Simulatorを使う方法なら、(簡素化された問題なら)Upscaleしないでも相当詳細なモデルが取り扱えるところまで来ています。ただ(差分法Simulatorの長所を生かす目的で)、現在ある方法、すなわちUpscaling、擬関数化、流線/流管法、そして非格子griddingは、やがて融合する方向に進むのではないかと思います。例えばボロノイグリッドにしても、よりローカルなFlow Geometryを考慮した、流線ベースのそれに発展させる研究がすでに始まっています。

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こうした、計算量圧縮のためのさまざまの方法は、現在は差分法Simulatorに対する、補助的な手段として位置付けられてますが、将来的にはむしろ差分法Simulatorでは取り扱えない様な問題に適用されていくのではないかと思います。例えばフラクチャーネットワークでの多相流について、エクスプリシットなモデルを取り扱える(ひとつひとつのフラクチャーの、流れへの影響が計算できる)Simulatorは今はありません。ダブルポロシティというのは非常にImplicit(フラクチャーシステム全体を一括してパラメータ化し、実態は"Homogeneous Heterogeneity"を仮定している)な方法です。これなどは、まずポテンシャル問題として境界要素法などを使って流線を計算し、それに沿って流線/流管Simulationで飽和率を進めていくといった解き方も、できるのではないかと思います。

Reservoir Characterization全体の傾向としては、現在はまずGeologistGeophysicistがスタティックな地質モデルを作り、その後Reservoir Engineerに引き渡されて動的Simulatorに入れられ、ヒストリーマッチングなどの作業に引き継がれるといったイメージがあるように思います。やがてこれはIterativeな作業になって行くのではないか。つまりデータをとる段階から初期的なフローシミュレーションを走らせ、その結果によって必要なデータを決めていくというように、これまでG&Gがやってきた段階に、Reservoir Engineerがどんどん介入して行くのが一般的になるのではないかと思います。

Reservoir Characterization手法の現状について、さきほどから議論になっている、さまざまのGeological Descriptionのうち何をモデルに組み込むのか、ヒストリーマッチングの作業量をどうやって極小化するのか、Reservoir Simulationに必要な解像度はどれだけなのか、といったことは全て、解こうとする問題毎に、すなわちProblem-Specificに決まってくるものだと考えてます。セクターモデル、断面モデル、単層モデルといった、より小規模なSimulationを駆使して、対象とするReservoirでの回収プロセスを、どんな物理が支配しているかを理解し、それに応じて地質情報の取捨選択、Reservoir Modelgridding、ヒストリーマッチングの手順を戦略的に考えて行くことを、私自身はModeling Strategyと呼ぶことにしています。この点について、最近行ったSimulation Studyの例を使ってお話しします。

5-b.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(事例紹介 : 山田知己氏)

Reservoir Characterizationは、解こうとする問題に対してProblem-Specificである。ということを説明する実例として、阿賀沖N-6層(ガス)の残存鉱量回収スタディ(1)を披露した。以下はパネルディスカッションでの説明に若干の補足を加え、発言者の意図を明らかにしたものである。

1. はじめに

阿賀沖油/ガス田では廃山を目前に控え、残存鉱量の回収が急がれている。ガスの主力層であったN-6層もその対象で、物質収支法によると水押しは非常に弱く、放棄圧力に至るまでにはまだ相当量(約6億立法メートル)のガスが回収可能という計算となる。しかし一方では背斜の頂部近くを仕上げた坑井をはじめ、全てのガス井が現在までに見掛け上水没し、ガスは採収終了したと考えられてきた。同層は非常に薄い砂と泥のタービダイト互層をなしており、このように物質収支と見かけの生産挙動が矛盾することと、何らかの関係があると考えられてきた。本当に6億立法メートルのガスが取れるなら、そのために新たな坑井を掘ってもペイする。しかしそんな量のガスがReservoirのどこに残されているのか、という疑問を解明する目的で、Simulation Studyが実施された。

2. モデリング構想

薄互層におけるガスの回収メカニズムを調べるのが目的だから、垂直方向には非常に詳しくgriddingしなければならない。しかし一方では、インフィル井の配置を決めるに充分な、横方向の解像度も確保しなければならない。限られた作業時間と電算能力で双方を満たすには、周到な戦略的構想(Modeling Strategy)に基づき、充分なプレスタディと技術的判断の積み上げによって、フルフィールドモデルを構築して行く必要があった。そこでまず1に示す様なJob Listを準備し、griddingとあらゆる地質情報について、それぞれ断面と単層の2つの2次元モデルに割り当て、センジティビティスタディを行った。その結果ガスの回収に殆ど影響しない項目は切り捨て、逆にフルフィールドモデルに考慮すべきものは、その取り扱いを決めることができた。あるものはストカスティックにモデリングし、複数の3次元realizationを用意しなければならないし、またあるものはフルフィールドでのヒストリーマッチングによって決定すべきである。さらにヒストリーマッチングで決めるパラメータについても、その影響の程度によって格付けしておけば、ヒストリーランの無駄を省くことができる。影響の大きなパラメータで先に概略をあわせ、影響の小さいものでFine Tuningすれば、逆にやる場合と比べて非常に少ないヒストリーランで最適解が得られる訳である。

3. 断面モデルによるプレスタディ

単層対比の結果、N-6層は313枚の砂からなり、貯留層状態における砂の浸透率の垂直分布は0.1md以下から200md程度、平均で50md程度ということがわかった。浸透率は140の砂の実測値があり、残りはモンテカルロ法で実測値の分布からランダムに決め、10realizationを用意した。1枚の砂を1つのグリッドレイヤーで表現した断面モデルを使い、垂直方向のgridding、リングオイルの影響、浸透率の垂直序列、シェール部分の浸透性の影響などを含む多くの項目について調べた。まずモデルの頂部に仮想したガス井に、実フィールドと同程度のGravity Numberとなる生産量を与え、ガス水比2000SCM/KLを割る時点のガス層内の飽和率分布を計算した。図1に計算結果を示すが、特定の方向から数枚の高浸透性の砂を伝わってきた端水が、この程度の着水を起こしていたことがわかった。阿賀沖ではサンドトラブルによる坑井の操業停止が相次いだが、これは主に水の産出が原因と考えられている。2000SCM/KLという値はそのマジックナンバーで、グラベルパックをしてないガス井の殆どは、この状態で使用不能となっているのである。垂直方向をCoarseningしたグリッドシステムでこの現象を捉えることはできないので、縦313分割のフルフィールドモデルが必要となることがはっきりした。

この計算結果は、浸透率の不均質性と粘性力のどちらが、ガスの回収プロセスを支配していたかを解明した。水が粘性の低いガスを置換するのだから、システムのモビリティ比は極めて低く、水のフロントは全ての砂を同じ進行速度で置換しようとする。高浸透性の砂で水による置換が他より早く進めば、その単層内の流動抵抗が上がるために置換速度が落ち、他層のフロントと足並みを揃えようとする。これが粘性力の優勢なシステムである。しかし砂の浸透率に極端00なバリエーションがある場合は、モビリティ比が低くてもやはりHigh Perm Streakを水が走ることになる。計算実験の結果は、浸透率の不均質性がより支配的であったことを示しているのである。同じ断面モデルを使って地質パラメータのスクリーニングスタディをした結果、リングオイルが水侵入に対して相当のChoke Effectをもち、フルフィールドは3相モデルでなければならないことや、シェールがマイクロダルシー程度の浸透性を持っていれば、ガス層挙動に大きく影響すること等が判明した。浸透率の垂直序列(前出の10realization)は殆ど影響しないことがわかり、1つのRealizationで代表させることにした。

4. 単層モデルによるプレスタディ

垂直方向が313分割となったことを受けて、横方向のgridding極小化はクリティカルな問題となった。そこで単層モデルを使い、面方向を30*25に分けた不均質浸透率の場合と、15*13の均質浸透率の場合を、20年間の生産ヒストリーを与えた後の残存ガス飽和率を比較することで、グリッドセンジティビティを検討した。その結果、2および3に示す様に双方共ほぼ同様のガス飽和率分布になることがわかり、フルフィールドモデルでの面方向分割は15*13にすることとした。ここで注目すべきは、残存ガスは構造の頂部ではなく、南側にやや下がった緩斜面上を中心に分布しているという点である。

ガス/水のシステムは油/水の場合と比べて流体の比重差が大きいので、端水面はほぼ水平を維持したまま上昇し、ガスを構造の最も高い所へ追い込むと従来考えられきた。すなわち重力が支配的なシステムを想定した訳で、本構造での生産操業もこれに沿ってきた。しかし先に述べた様にガス/水の置換はモビリティ比が低く、条件によっては粘性力が主となる可能性もある。その場合、端水のフロントは周囲から均一な速度で進み、ガスを構造の中央に向かって置換していくことになる。単層Simulationでガスの残された場所というのは、まさに構造の中央部にあたるのである。重力と粘性力のどちらが優勢かはさまざまの条件で決まるが、本構造の中央部分では地層の傾斜が小さくなっており、なおかつ一枚一枚の砂が非常に薄いことから重力は殆ど影響せず、粘性力が支配するメカニズムになった訳である。浸透率の面方向の不均質性については、その空間的な変化が垂直方向のそれと比較して圧倒的に小さいことから、粘性力をしのぐ様な影響をもたなかったと考えられる。従って各砂の浸透率は、面方向には一定として差し支えない。ただし流体がもし油と水 だったら、こうは行かないであろう。

この単層モデルを使って、考えうる限りのあらゆるパラメータをスクリーニングし、ヒストリーマッチングの際に変化させる項目を絞り込んだ。その結果、最も重要なパラメータは平均孔隙率(すなわち原始鉱量)で、次がAquiferのサイズだが、前者は後者と比べてインパクトが1オーダー大きく、また後者は水の生産挙動とガス層圧に対して、前者とはかなり違った影響をもたらすということがわかった。そこで平均孔隙率でガス層挙動の概略をあわせ、Aquiferのサイズを変化させることでファインチューニングすることとした。ガス層は薄互層であっても、その原始鉱量と水インフラックスによって性格付けられるということもわかった訳である。

5. フルフィールドモデルによるヒストリーマッチングと予測

結局、3次元フルフィールドでしかモデリングできないアイテムは、砂の横方向の広がりだけとなった。15*13*313セルの3相モデルにおいて、それぞれのGrid LayerNet/Gross比をSequential Gaussian Simulation (SGS) (2)によって分布させることで、Connectivityを表現した。各坑井の検層に現われた全ての砂の厚さをコンディショニングデータとし、5つの3次元realizationを準備した。そのうちのひとつをピックアップしてベースモデルとし、ヒストリーマッチングを行ったが、変化させるべきパラメータは既に分かっているので、わずか8ランで最適解が得られた。ガスの原始鉱量は、いずれの坑井でもパーフォレートされなかった砂があるために、物質収支法のそれよりやや大きい値となった。残存ガスは、砂のConnectivityを考慮しても、やはり構造の中心近くに分布していた。その部分から頂部に掛けての4箇所をインフィル掘削の候補とし、モデル上に新掘井を配置して可採鉱量を比較したところ、構造中心を掘った場合が最も有利ということが判明した。

他に既存井1坑を改層することによってトータルで約6.2SCMの可採鉱量となったが、他のrealizationについても同様のことを行ったところ、可採鉱量はそのプラスマイナス10%の範囲に収まる計算となった。すなわち砂の横方向の広がりについて、坑井が無いところの情報は手に入らないが、それによる可採鉱量の不確定性は10%程度と評価されるということである。realizationの数をもっと増やして、より緻密なリスク評価をすることにも興味はあったが、この程度のばらつきであれば、既に圧力の下がった層を仕上げる作業リスクと比べて微々たるものなので、Reservoir Studyはここまでとした。引き続き作業性と経済性が検討された結果、このプロジェクトは実行に移されることが決定されている。

6. おわりに

石油開発におけるReservoir Engineerの使命は、貯留層流体の挙動をコントロールすることによって、Reservoirの経済的価値を最大限に引き出すことである。当然その対象を十分に理解することが大前提となるが、Geostatisticsのめざましい発達により、それを手助けするさまざまの手法がもたらされつつある。解像度やフォーマットの異なるデータのインテグレーションや、生産挙動に関する不確定性の定量評価といったことはもはや夢ではなくなり、GeostatisticsReservoir Modelingへの適用がすなわちReservoir Characterizationと呼ばれている感さえ否めない。しかし目的と手段を取り違えてはならない。Reservoirを数値モデル化するのは工学の問題であって、統計学の問題ではないのである。対象とする油/ガスの回収プロセスと、それを支配する物理を見抜き、そのメカニズムを正しくモデリングをすることによってのみ、新しい発想が生まれるのであって、Geostatisticsはその道具の一つにすぎない。ここに示した例は、水没井のダウンディップに坑井を仕上げてガスを取るというもので、成功すればこれまでの常識をくつがえすことになる。新規探鉱が世界的に成熟しつつある現在、こうした発想を次々と生みだし、収益化して行けるか否かが、開発企業の存亡を分けることになろう。

1. Yamada, T.: "Recovery of Upswept Gas from a Highly Stratified Reservoir." paper SPE38085 presented at the 1997 SPE Asia Pacific Oil and Gas Conference, Kuala Lumpur, Malaysia, Apr. 14-16, 1997

2. Deutch C. V., and Journel A. G.: GSLIB Geostatistical Software Library and Users Guide, Oxford University Press, 1992

江藤:新しい井戸を掘ったのですか?

山田:偶然そこを貫通しながらN6層を仕上げていない井戸がありましので、それを改修します。

5-c.Reservoir Characterization関連新手法の現状と可能性(Simulationの目的とデータ収集の関係)

在原:ただ今のお話に何かコメントはありますか?

伊藤:基本的にはほとんど同意見で、目的というか対Reservoirに対して、これは本当にReservoirを理解するということと一致するのですが、そのReservoirとどういう風に物が動いていくか、それを理解することによって、遥かに効率的にSimulationできるということだと思う。どういう風にSimulationするかによりますが、どういう風にデータを収集していくかという過程においても、理解するというのは大切です。

後、私がやった時にも初期段階でデータをコレクトするのにGeologistが頑張って、時間がかかったのですが、その時にやったことにクロスセクションを最初の数本のデータを使って未完成の段階でGeologistに見せまして「こういった状況があるからガス圧入にしては非常にセンシィティブなところがある。こういう所を中心にデータを集めてくれ。」といった風にもっていきました。そうすると、目的をもったデータを収集することによって余計なパラメーターに彼らが注目しないことによって時間が稼げる。ということも付け加えておきます。

増本:自動ヒストリーマッチングについていろいろと議論がありましたが、私の考えをちょっと述べさせて頂きたいと思います。今、目的という話がありましたが、何を知りたいかという目的から離れたら意味がないと思う。最終的な目的は油層の場合ですと、予測してマネージメント生産計画どうする、という話になるんでしょうけど、その予測には定量的な評価が必要ということでSimulationがやられる。Simulationを行う為にはSimulationに必要なデータをどうしても与えなくてはいけないということで、いろいろデータ収集をするけれども、結局はヒストリマッチングをせざるを得ない。そのヒストリマッチングをどうやるか、というところで登坂先生のお話にありましたが、そこでもう少し自動化が使えたら。ただ今の段階ではいろんな情報、Geologicalの情報とかいろいろ組み込んだ上で自動ヒストリマッチング、逆解析するにはまだいろいろと問題がある。その為の道具を作らなければいけないのではないかと考えて、未知パラ メーターをたくさんとって今はやってますが、勿論これは将来的にはどういう組み合わせで未知パラメーターの設定をするか、評価関数と未知パラメーターの関係をどうするかというところが大事だと思う。あと全体の元々のモデルというのは大事だし、gridding、境界条件、いろいろありますが、そういった全てのSimulationに必要な情報を組み合わせる。評価関数をどういう形にするかという所も実はかなりいろいろなvariationがありまして、そういうのをどうすれば一番最適な計測をしてもっとも知りたいことを直接つかまえるようなことができるか。そういう方向で考えていく為に取り敢えずできるだけたくさんのunknownを扱えるような形にして、できるだけいろいろな評価関数に対応できるようにする。去年私が発表したように、圧力変化率デリバティブも評価関数に入れると、計算が速くなる。そして少なくてもセンシィティビティ マットリクスを早く計算できるようにする。今は、そういう段階だと思います。

6.Reservoir Characterizationにおける動的データの活用

在原:まとめということはいらないと思いますが、ダイナミックデータによるReservoir Characterization、ということはSimulationヒストリーマッチングということだと思いますが、そういう観点で何かありませんか?

佐藤Reservoir Characterizationにおいてダイナミックデータとは圧力とか生産量になるかと思いますが、ヒストリーマッチの観点から考えてみると、勿論基本的なSimulatorのセッティングが妥当であればの話ですが、圧力のマッチングは比較的容易で、生産量のマッチングに苦労することが多い様です。例外的に、登坂先生のやられている様な複数ポイントでパルスを送って云々となりますと圧力マッチも困難となりますが、一般油層ではそのようなデータの取り方をしませんので圧力マッチの問題はあまり表面化しません。

これは、生産量が相対浸透率みたいな物理的にその素性が曖昧な特性に依存していたり、PVTに依存していたりする二次的要因も挙げられますが、基本的にはプロセスの違い(数学上は支配方程式の違い)に起因しています。圧力がパラボリックな式に支配され、圧力伝播が「averaging process」であるのに対し、生産量はadvection即ちハイパボリックな波動方程式の片割れに支配されていますから、averagingではなく、むしろ「differentiation process」と捉えられます。

averaging process」であるがためにヘテロジニティの影響が緩和されヒストリーマッチが比較的容易な圧力データは、反面、Reservoir Characterizationの観点からは十分な情報を私達に与えてくれないことになります。一方、ヒストリーマッチの難しいGORですとかWORのような生産データはdifferentiation process」を経てきているため、Characterizationには有用なデータといえます。

ヒストリーマッチは、登坂先生のように“スマート”なアプローチを試みられている方もいらっしゃいますが、基本的には物理的意味合いを壊さない程度に試行錯誤で力任せにやっているのが現状です。より“スマート”に物理的なことを盛り込んだアプローチとしては、複数坑井での圧力試験から浸透率の分布をcharacterizeするというタルサ大学のグループの試みが挙げられます。これは、坑井で観測される圧力が地層のヘテロジニアスな物性の影響を如何に受け、如何にaveragingされているかをPerturbation(摂動法)を使って解明したChevron社のOliverの論文を複数坑井での圧力試験に応用したものです。ダイナミックデータ を用いた“スマート”なcharacterizationというのは今のところその程度で、油層の情報をより含んでいる生産量を直にcharacterizeの手法に組み込んだものはまだ出てきていないのが現状のようです。

会場6.佐溝(アラビア石油(株)):Reservoir Characterizationが、今我々に注目を集めている背景は(これは今日の皆さんのお話の中で、Reservoir Characterizationの定義の所で話されている事と関係がありますが)、従来の油層モデルが合わないことを経験的に知っていて、より高精度なモデルへのニーズがあるからだと思います。例えば、ある油田の開発初期の段階で油層モデルを作り、それにより開発計画を立てて、次に、その計画に従って新しい井戸を掘る。その井戸のヒストリーができ、新しいデータが出てくると、殆どの場合前に予測したモデルの挙動とは合わない。それで又モデルを作り直す。新しいデータがまた出てくると合わないので又その繰り返しといった具合に。つまり、将来の予測に良く合うという意味での高精度モデルを我々は求めているのです。

しかしながら、もう一つの問題として、Stochastic Modelとか如何にここで言う高精度なモデルを作っても、我々ユーザーサイドとしては、新しいデータが出てきた所でそれをフィードバックしてモデルをアップデートするのに、時間がものすごくかかったり、お金がものすごくかかるようなものは使えません。そういった面で、モデル及びアップデートのプロセス全体をみて、これならというものが出てくると非常に有り難いと思います。

例えば、必要情報のデータベース化。これも必要なデータが昔はバラバラな状態でそれを集めているだけで膨大な時間が掛かってしまった。伊藤さんの講演の中でも最初の段階で時間が掛かったという話をされましたが、そういった面ではデータベース化は必須と思われます。とにかく、限られた時間と予算の中で、より実油田と合うモデルを作る事、より速くアップデート出来るシステムが望まれるのは確かだと思います。

松原:先程のスノーレの油田のことですが、最初Stochasticなファシスモデルを作って、井戸を掘るたびにStochastic Modelingをやり直さなければならない。手間がかかって仕方がないので、一時デタミニスティックモデルに転向したことがあったんです。それはソフトウェア的なリミテーションもあるのですが、井戸の密度が増えてきたあたりは、デタミニスティックなモデルを作ってしまう。そうするとアップデートも比較的楽でした。しかし、井戸の密度は大したことないのでデタミニスティックモデルが作る程のものではないだろうということで、またStochastic Modelに戻ったんです。その時はソフトウェアが向上していて、比較的早くアップデートできました。それでも一つのStochastic Simulationは井戸を掘るたびにやり直さなければならないという問題はある。

今年の予算を上げて計画しているのは、今持っているソフトの急速なアップデートで、掘った所だけStochastic Simulationをパッチをあてるようにできないか、というモジュールを開発しているところです。そういうことをしながらスピードアップしていく、というのがこれからKeyになっていくと思う。

7.データベース構築とReservoir Characterization実施体制(チームワークとマネージメント)の重要性

在原:時間も残り少なくなってきました。気になって残っているのは今丁度佐溝さんが言われたデータベースと、伊藤さんのお話にありましたようにチームワークというか組織等について意見がある人もいるかと思いますが、時間の問題もありますので。特に難波さん、アブダビでも大分そういうことを経験されたということを聞いてますので、何かありましたらお願いします。

難波:体験した、というか体験したかったんですが、垣根があってできませんでした。伊藤さんの例はアブダビで唯一の例で、非常に皆が注目していたProjectです。ご自分で薄片を観察したり、個人の中でMulti Disciplinaryをしていたのではないかというくらい、かなりご苦労をされていたようです。理想的なのはどういうことなのかということで、私達がアブダビにいる時にBP(British Petroleum Co. Ltd.の略でBPグループの親会社)等と一緒に仕事をする機会があったんですが、Project単位でチームで主要なWork単位になっている。そうすると専門集団も必要になってくるのでサブ的に専門分野のネットワークもある。ということでマトリックスアプローチというのがほとんどのMajor Companyでやっていることだと思います。マトリックスとは個人がProject単位これが主要であり、専門単位という2つのIDを持ち、自分をIdentifyするものらしい。そのマトリックスから飛びぬけた人がいてシニアマネージメントがいて、人の案配等をしている。そういうのがあると聞いています。

しかし私がBP等と付き合った経験から言うと、必ずしも実態はそうではない。専門分野については非常に皆さんやられるけれども、統合されていないというのがあるように思いました。伊藤さん達がやられたのは、現状の組織を温存したまま、意識のあるハイポジションにある人がチームを組ませ、チームリーダーを中心に自由にやらせて割とうまくいったんだと思う。本格的に組織替えをするというのは日本の会社では大変なことなので、このReservoir Characterizationの為に組織替えがあるとは思えませんので、次善の策として、伊藤さん達がADMA-OPCOでやられたようなアプローチでどんどんやっていくのが日本では現実的ではないかと思う。

そして重要なのは、伊藤さんがおっしゃってましたが、違う専門分野の人が集まっても離れていては駄目だ。物理的にも同じ部屋にいて常時話し合ってやらないとうまくいかない。タスクフォース的なことでやられている例もありますが、目的が異なって成果物が出てくるのを待つといった型になってしまい、なかなか結果が出てこないので、チームを組んでやるというのが効率的なアプローチだと思います。

江藤:伊藤さんのPresentationの最後のChartは非常に良くできていて、私も賛成なのですが、一つ不満があるのは「上司の理解」というところです。上司のリーダーシップという風に変える必要がある。というのは去年TRCでもいくつかの研究室の人が参加してMulti-Disciplinaryと銘打ってあるReservoirStudyを始めたのです。スタディの目的は結局、Simulation Modelを作って何等かのforecastをするとか、IORprojectをやった時どうなるか等、そういうことをやりたかったのです。しかしその為のインプットデータを作るんだという認識が各人になくて、特に別の研究室の方になくて、Multi-DisciplinaryというのはそのReservoirのデータを使って、自分の好きなことをやればそのスタディに寄与したのだ、という認識があるように見受けられました。しかし大事なことは、一生懸命研究した結果がモデルに取り込まれなければ何の役にも立たない。その時に日本の縦割り組織では「貴方はこちらの方向に動いているが、実は別方向に動いて欲しいんだ」というようなことは言えない。指揮・命令権がないのです。ですからそういうMulti-DisciplinaryProjectをする時には、もっと上のオーソリティを持った人が監督・指揮をしていくようにならないと駄目だと思う。アメリカ やヨーロッパではもう4〜5年前から例えばGeologistの配置転換がありました。新しい油田が見付からないのなら、探鉱に行くより、Production GeologistとしてReservoir Engineerに協力しろ、という形で配置転換がありました。

最近はそれが一巡して動きが止まった段階です。アメリカなどでは上司の命令に対して否応もないのです。Noと言ったらクビになるだけです。日本の場合はなかなかクビにできませんね。だからいつまでたっても各人が自分の夢を追いかけてスタディをするのです。結局何の役に立つかというところまではなかなか考えてくれない。そういう面を私はいくつか見てきた。ですから日本のこの環境でMulti-Disciplinaryのことをやるというのは、かなりオーソリティを持っている人が強力にProjectをプッシュしないと難しいのではないかという気がします。これとは別に、外国の大学の先生方の大体共通した認識なのですが、Reservoir Engineerを育てる学科というのはそれなりに地質の教科も教える。しかし地質屋を育てる科目というのはSimulation Modelを作るという科目がない。だからReservoir Engineerが何を欲しているかというのが、今一つわからない。そういう状況だから今から地質屋を育てる学科でもSimulation Modelを構築する段階までの学科、それから中級程度の統計学を教える、単なる平均値と分散だけの計算をするのではなくて、中級程度の統計学まで教えるのを必須科目にしたい。そういう意見がありました。

難波:上司の理解というので一言。必ずしもそんなに地位の高い人がリーダーシップを取らなくても、ごく大まかな目的を示し、Reservoir Engineer何人、地質何人とかいうように、それだけ決めていただければいい。その中でReservoirが一番わかっている人、ハッキリとした目的とReservoirのイメージを持った人がいれば、彼をプロジェクトマネージャーとしてやっていけばそれでうまく進むんだと思います。伊藤さんのケースはまさにそれだったと思います。

在原:はい、ありがとうございました。それでは時間もきたようなのでこれで終了と致します。どうもありがとうございました。