back

開会の挨拶


これから石油技術協会、生産開発部門シンポジウムを開催いたします。私は本シンポジウムの企画運営を担当しております生産技術委員会委員長の金野でございますが、本シンポジウム開催にあたりまして一言ご挨拶を申し上げます。


本日の統一テーマは最近の油層評価技術であります

油層評価技術はコンピューター技術の進歩に伴い特に油層シミュレーション技術の分野に於いて急速な進歩をとげてきました。 アナリティカルな手法が中心であった一昔前では、坑井から得られた貴重なデータ、特に地質の詳細情報等の定性的なデータは、油層評価に必ずしも十分に活用されていませんでした。 しかし、最近では数値解析、統計的処理法等の技術の発展に伴いこのようなデータもかなり活用出来る様になってきており、油層評価の精度や信頼性の面では過去とは比較にならない程大きく様変りしたことは皆様良くご存知のことと思います。

最近の油層評価技術といえば、まず、よく話題になっているReservoir Characterizationが挙げられるのではないかと思います。 また、その実施方法として、やはり最近良く耳にする言葉にMulti-Disciplinary Approachがあります。 これらは対で使われている事が多い様ですので、今回は「Multi-Disciplinary ApproachによるReservoir Characterizationの現状と将来」と言う副題を付けさせて頂きました。

そもそも、このReservoir Characterizationとは一体何なのでしょうか? 今ひとつ漠然としていて良くわからないという方が多いのではないでしょうか。 これにつきましてはこれから引き続き行われます専門家の方々による講演とパネル・ディスカッションの中で明らかにされて行くものと思われますが、前座として私見を簡単にご披露させて頂きたいと思います。

Reservoir Characterizationについて語るとき、様々な切り口があるのでしょうが、私は2つの大切なポイントがあるのではないかと考えます。

まず、最初のポイントは「油層イメージの共有」です。油層やガス層は、通常数千メートルの地下にあって、当然、その全体像を直接この目で見たり、手で触って見たりすることは出来ません。震探データや物理検層データは間接データですし、コアやカッティングスは地層そのものの貴重な直接データですが、砂浜の中の一粒の砂粒の様なもので、油層の全体像を代表させるには小さすぎます。 そこで、これらの断片的なデータを基に、私達は油層全体のイメージをそれぞれ構築して行く事になります。 しかし、例えば、地質技術者、油層・石油工学技術者、物理探査技術者、掘削技術者や生産技術者等では、扱うデータの種類や解析手法あるいは目的がそれぞれ異なるため、当然それぞれの描く油層のイメージは随分違ったものになろうことは容易に想像できます。 このままでは、まさに「群盲象を撫でる」と言った状況になってしまいます。 従って、より解りやすく、より現実に近い油層イメージを作り上げて行くためには、各人がそれぞれの専門分野を背景としたイメージを持ち寄り、お互いに補完、修正し合う事が必要であり、且つそれを皆で共有して行くことがますます大切になってきています。 つまりMulti-Disciplinary Approachによる作業が重要になってきているのです。

2つめのポイントは、かかる油層のイメージは、その使用目的に沿って余分なものを省き、その特性を明快なものにしていくことです。つまり、あらゆる角度から細大漏らさず総てを油層イメージの中に網羅しようとしても、悪戯にことを複雑にして混乱を招いてしまいます。 目的に応じ、必要な油層特性を抽出していくことが重要で、これがReservoir Characterizationと呼ばれる所以ではないかと思っている次第です。

さて、ここで若干余談になりますが、本日私がReservoir Characterizationについて話をすると聞いて私どもの会社の仲間が一枚のView Graph(図1)を用意してくれましたのでご笑覧頂きたいと思います。

図1

これは、私の日頃の言動をいろいろな側面から知る連中が集まり、それぞれの持つイメージを持ち寄って私の特徴を抽出し絵の上手な者に描かせたものの様です。つまり、Multi-Disciplinary Approachにより私のCharacterizationをしたものと言えます。名詞や顔写真だけでは把握しがたい私の人間性がうまく特徴付けられているように思われます。

私をcharacterizeしても何の役にも立ちませんが油層を的確にcharacterizeして行くことは効率的な増油増産リスク回避ひいては増収増益につながり今後ますますその重要性を増して行くものと思われます

話が横道に逸れてしまいましたが 今日ご参加頂いた方はもちろんの事、会員の皆様にReservoir Characterizationについて、共通の理解を持って頂き、今後の研究活動や日常の業務に役立てて頂きたいと念願する次第であります。

この後、6人の方々にご講演を頂き、引き続き専門家の方々にも加って頂いてパネル・ディスカッションをして頂く予定ですので、Reservoir Characterization及びMulti-Disciplinary Approachについては正しくご理解頂けるとものと思います。 但し、本日はMulti-Disciplinary Approachと言うテーマにご興味を持たれている油層工学以外の分野の方々にも多数ご参加頂いておりますので、講演者、パネラーの方々には出来るだけ平易な表現を用いて頂くようお願い致します。 また、少しでも皆様のご理解のお役に立てばと、当委員会の方で簡易用語集とReservoir Characterizationの概念図(図2)を用意致しましたので、どうぞご利用下さい。

図2

会場の皆様方の議論への積極的な参加は大いに歓迎するところでありますので、ご質問・コメント等なんなりとご発言頂きたいと存じます。

最後になりますが、先日の総会で岩橋会長よりお話が有りましたように、来年4月に石油技術協会とSPEの共同事業としてApplied Technology Workshopが日本で開催されることになりました。偶々、本日のテーマと同様のテーマになりそうです。本シンポジウムが来年のWorkshop成功に向けて少しでもお役に立てば幸いと思っております。

では皆様、最後まで本シンポジウムをお楽しみ下さい。