これから石油技術協会、生産、開発部門シンポジウムを開催いたします。
私は、生産技術委員会委員長として、本シンポジウムの企画・運営を担当してまいりました金野でございますが、本シンポジウム開催にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
先日の小泉先生の特別講演にもございました様に、20世紀は工業社会の時代、先進工業国を中心に急速な工業発展を続け、
豊かな社会を築いてきました。化石燃料、特に、石油やガスはその主要なエネルギー源として、
この発展を支える原動力となって来ましたし、今後ともその大宗を占め続けていくことは間違いないと思われます。
しかし一方において、 増加する化石燃料の消費が私たちの住むこの地球環境のバランスを崩し、これを虫食みつつあることも見逃せない未来からの警鐘として顕在化しつつあります。
小泉先生の言われる、ポスト工業社会、エコ・ヒューマン社会に向けて、まさに人類の叡智が期待されるところであります。
昨年12月には地球温暖化防止会議COP3が京都で開催され、 我が国においても環境問題に対する関心が急速に上昇しており、種々対応が検討されております。
これからの社会に対応していくための、私達石油開発産業に携わる技術者に課せられた役割は、
環境との調和をはかりつつ、如何にしたらより効率よく石油や天然ガスの開発生産を続けて行くかと言うことではないかと思います。
この様な状況の中で、環境にやさしい天然ガスがますます注目される様になって来ました。皆様もご承知の様に、
この地北海道では、石油資源開発(株)さんが勇払ガス田の開発に成功されておられます。さまざまな技術的課題を克服された事は勿論のこと、特にこの美しい北海道の自然環境保護にも大変苦労されたと伺っておりまして、昨年の総会では栄えある業積賞に輝いておられます。
そこで、 本日の統一テーマは「ガス資源の有効活用(環境との調和)」とさせて戴きました。

LNG技術の進歩のお陰で、今日では日本でも大量の天然ガスが利用される様になって来ましたが、ひと昔前までは、例えば中東など消費地から遠く離れた産油地域では、天然ガスは輸送手段がなかったため、
あまり価値あるものとはされてきませんでした。むしろ、原油生産に伴って生産される膨大な量の随伴ガスは、使い道の無い厄介な副産物でしかなく、その殆どは焼却処分せざるを得ませんでした。
天を焦がして燃え盛るフレアの炎は、我々油田開発に賭けるオイルメンの情熱の象徴とさえ言われてきました。この巨大な炎は宇宙飛行士からでも際だって明るく見えたそうです。
膨大なエネルギーを無為に空中放散していたわけで、今から見れば、大変勿体無いことをしていたものです。それだけでは無く、大量の炭酸ガスも大気中に放出していたのです。
勿論、現在ではその様なことはありません。LNGプラントの建設、アルミ精練などエネルギー多消費型産業の誘致、民生用発電設備の増強などインフラの発達の外、原油増産のためのガス圧入法適用など、産地でのガス有効利用が進められ、フレアで焼却されるガス量は激減しております。
さらに、例えば、中東産油国では、資源保護と環境保全の観点からゼロフレア規制、つまり、ガスの焼却を全面禁止しようとする動きすらあります。
一方、LNG技術は天然ガスの利用を急速に増大させましたが、これはまだ、一部の大規模ガス田に限定されております。世界にはまだ数多くの未開発ガス田があります。遠隔地の中小規模ガス田、低品位のガス田など開発の難しいガス田の開発を進め、貴重なガス資源を有効活用することも、今後私達の取り組むべき課題ではないかと思います。
本日のシンポジウムでは、この後7人の方々にご講演いただきますが、いずれも、天然ガスの開発生産技術、油田開発におけるガス圧入などガスの有効活用技術のほか、最近話題を呼んでいるGTL(Gas
To Liquid)技術、User側として天然ガス利用技術等に取り組んでおられる専門家の方々であります。
引き続き東京大学工学部藤田和男教授の司会でパネル・ディスカッションをして戴く予定になっております。
石油技術協会の会員の皆様が、今後この様な課題にどう取り組んでいったら良いか、何か指標でも得られればと思う次第でございます。
では皆様、最後まで本シンポジウムをお楽しみ下さい。