
これからの掘削技術者、作井技術委員会
「井戸は生きている」とか「井戸には魔物が棲んでいる」と言われる。
どんなに周到に掘削計画を作成してオペレーションに臨んでも、井戸を掘削していると日々刻々状態が変化し、時には思ってもみない坑井トラブルに遭遇する。 そして、往々にして、そのトラブルの原因や実態すら理論的に説明がつかないこともある。
逸泥、溢泥、地層の崩壊、パイプの抑留・切断、穴替り、掘進不捗、難掘、・・・・・
同じ地域で掘る井戸であっても坑井内の事象は井戸ごとに全然違うこともあり、坑井トラブルの種類や程度は過去にその地域では問題にならなかった類のものも稀ではない。
石油・天然ガスの残された埋蔵量を求めて、作井オペレーションの領域は、大深度、高温高圧、大偏距、大水深、ジャングル・砂漠や氷海、リモートエリア・・・と、技術的に段々難しい方向へ拡大していく。
作井技術者に対する周囲の期待は、「トラブルなく上手に、安いコストで、安全に且つ環境を損なわないように、井戸を掘削して欲しい」というしごく当然とも思えるものだが、それを実現することは容易でなく、確固たる作井技術の適用が必要になる。
作井技術者を悩ませ掘削コストを増加させるのが地層そのものの厄介さに起因することもあり、掘削装置・機器の仕様、あるいは既存要素技術の適用範囲など経済性を含めて考えると、新しい技術の開発が解決に必要になることもある。
概して、問題解決の鍵は、ケーシング設計、泥水計画、セメンチング計画、ビット選択、坑内機器選択など、一つ一つの基本的な技術の最適化や応用にあるし、坑井掘削の成否の分れ目は、オペレーションを計画・遂行するにあたっての入念なエンジニアリングにかかっている、といえるのである。
我々作井技術者は、基礎研究の大学、応用研究の技術研究所、掘削サービス・機器提供のベンダーとの交流を深めることを通して、各自が技術の基礎を固めつつ互いにレベルの向上を目指し、いかなる問題が発生しようともそれに立ち向かい挑戦を続けていく強固な意志と柔軟な応用能力を持った技術者への道を歩んで行かねばならない。
2006年7月
作井技術委員会 委員長 吉田 恒夫