見学会Aコース (エネルギー基地見学コース)

6月4日に行われた現場見学会のエネルギー基地見学コースは小雨のぱらつくすっきりしない天候の中44名の参加者で実施された。見学地は石油資源開発(株)北あけぼの試掘場と勇払鉱場、石油公団苫小牧東部石油備蓄の3個所だった。9時に北海道大学正門集合で石油資源開発(株)札幌鉱業所の佐々木芳郎氏、吉田智也氏の案内で出発した。


バスに揺られること約一時間。国道36号から新緑美しい林を抜けて2、3km行ったところにそびえ立つ巨大やぐら、北あけぼの試掘場 。Japex-Rig1625-DEはTop Drive形式で高さ60mとても高く、下方のフロアーの周囲には防音と防寒のために緑色のフェンスがはられており、これがとても好評だとの事だった。現在深度3884mを掘削中だそうだ。この周辺は環境保護地域で、競馬馬の産地でもあるとのこと。冬場も雪はそれほど降らずせいぜい25センチほどだそうで、気温はとても低く−25℃にもなるとのことでスケートが盛んだとの説明。そんな厳寒の中の作業はさぞかし厳しいものと想像できる。
北あけぼの試掘場から勇払生産鉱場までの道のりにはあけぼの試掘場跡が右手に見える。この地域の探鉱は昭和35年の勇払SK−1号井試掘をかわきりに継続的に行われたそうだが、勇払SK−1号井がもう少し西に掘られていたならば、もっとずっと早い時期に勇払地域での油ガス田開発が進んでいたであろうと少し悔やまれるとの事だった。


勇払生産鉱場は市街地から割と近いところに位置する。米谷所長の説明によると平成元年に南勇払SK−1号井の商業規模の天然ガス産出成功により勇払ガス田が誕生した このガス田の特徴は深度約3900m〜4750mに位置する花崗岩層のフラクチャーにガスが約500気圧もの高圧で圧縮されていて世界的にも珍しい貯留層だとのこと。それはメガフラクチャーと呼ばれ、間隔は10cmほどのものもあるそうでとても驚いた。実際に採取されたサンプルを見たところ、美しい墓石のようでとてもガスを含んだ貯留層には見えない。この井戸では逸泥があるとガスが生産される兆候で、日々一日千秋の思いで逸泥を待っているそうだ。また、ガスはとても上質だがコンデンセートのパラフィン含有量が13〜14%と高いことが問題で瓶に入ったサンプルはろうそくのように固まっていた。したがって常に50℃以上に保つ必要がありそのためのコストがかかるそうだ。パイプラインのバルブステーションは電話回線、衛生回線の2種で監視制御室からの24時間安全管理され、特に山間部などのは両方の回線 を使って故障に対応できるようになっている。ガスの処理施設も2系列あり、一方がシャットダウンしても残りの系列で十分は処理が出来るそうだ。一日120万立方メートルのガス処理能力と一日300klの油処理能力があるが、販売会社の工事の関係や夏と冬の消費量の格差などから生産を調整しているとのこと。今後容量2倍の新しい設備を建設する予定もあり、将来は海が近いという立地条件をいかして港からタンカーで輸送する事も考えているそうだ。


和風食事処「於久仁」での昼食はとても豪華で食べきれないほどだった。時間が短くちょっと慌ただしかったが魚料理を中心にお刺し身や茶碗蒸し等手の込んだものでデザートもついてビールも美味しく満腹だった。


最後の見学場所石油公団苫小牧東部石油備蓄場は124万坪もの広大な土地に88機のタンクがきれいに整列していて、その光景は圧倒的 。山本総務課長の話によるとこれらタンクのうち31機は民間企業経営だそうだ 。原油タンクはダブルデッキ型浮屋根式で、冬期の積雪対策として二重構造になっていて、油の浮力によって屋根を持ち上げ周囲をウレタンのチューブでシールする方式だ。屋根が傾かないように雪の吹き溜まり防止堰が屋根の上面に取り付けてあって北海道ならではの設備の工夫が随所に見られる。タンクの容量は11万4千kl。これはタンクローリー11000台分、190mlのコーラの瓶を横にしてならべたら地球を3周する量という想像を絶する量で、ジャンボジェット機がすっぽりらくに入ってしまうほどの大きさだ。しかし基地全体で貯えられている油量は640万kl。これは日本の12日分の消費量ということで、改めて国内のエネルギー消費量の多さを実感した。国内全部の基地を合計 すると163日分備蓄があるとのこと。また安全面では8年毎に開放点検するために常時7〜8機は空の状態になっていて、毎年10月には侵入した雨水を水抜きするそうだ。「環境方針」を定めて環境目的目標を定期的に見直す等、地球環境の保全に意欲的に取り組んでいて、周囲の土地の緑化等、自然との調和も図っていることも印象的だった。


3個所の見学が終わった後、最後に支笏湖の観光も組み込まれていて、楽しみにしていたのだが、時間が押していたので湖をほんの一瞬見る時間しかなかったのは残念だったが、帰りの飛行機の関係上しかたのないこと。あいにくのお天気ではあったが一日無事に見学会が終わって何よりだった。試掘場、生産鉱場、備蓄基地どれもとても巨大なものだっが、北海道の広大な大地を背景に眺めるとその大きさが霞んでしまうようだった。単なる施設見学に尽きず、現在に至るまでの歴史や苦労を垣間見ることができ非常に興味深い一日だった。


本見学会の企画や案内をしてくださった関係者の方々、本当にありがとうございました。
(大竹真由、早大理工)